75歳・尾上菊五郎、8キロ減量で5年ぶり弁天小僧「セリフの間を次の世代に伝えたい」

2018年5月17日12時0分  スポーツ報知
  • 「弁天娘女男白浪」での尾上菊五郎

 歌舞伎座(東京・銀座)は「團菊祭五月大歌舞伎」(26日まで)で連日、盛況だ。今年は2013年に逝去した12代目市川團十郎さんを5年祭としてしのぶ公演でもある。昼の部では息子の市川海老蔵(40)が、歌舞伎十八番の3演目を含む「雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)」で5役に挑戦。夜の部は「弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)」で人間国宝、尾上菊五郎(75)が当たり役の弁天小僧を5年ぶりに演じるなど話題作ぞろい。

 菊五郎は、歌舞伎座で弁天小僧を演じた10年前(08年)を思い出す。12代目團十郎さんが日本駄右衛門を、10代目坂東三津五郎さん(15年死去、享年59)が忠信利平役で共演していた。

 「10年後やるとき『誰も抜けてねぇだろうな』と話したんだよね。『そんなことないよ』と言ってた夏雄ちゃん(團十郎の本名)が一番先に逝っちゃって。寿(三津五郎の本名)も逝って…。非常に寂しい思いをしましたからね」。今回、初役で海老蔵が日本駄右衛門を演じているのはそんな背景もある。

 「知らざあ言って聞かせやしょう」。誰もが知る弁天小僧の名せりふ。22歳から演じ、半世紀以上。「20代はうれしくて興奮しながら、30代はただ勢いで。でもやればやるほど深みにはまっていくようで、役が分からなくなっていった。お客さんに本当に通じてるのかな、喜んでもらってるのかなってね」

 弁天小僧といえば、美しい武家娘に化け、呉服屋へ。ゆすりに失敗し、男の本性を現すところが最大の見せ場。「いまはやりの“究極の二刀流”ですよ。立役(男役)の部分が良くなると女形が気になる。女形を懸命にやっていると立役が気になって」。役への迷いが緩和したのは40歳を過ぎてから。役は、弁天“小僧”なので推定16、17歳。「姿勢良く背筋伸ばすとき腰がメリメリいうほど痛いんだよ」。役のためにダイエットで8キロ落とした。

 継承も「絶対大事」と話す音羽屋の芸。尾上松緑(43)、尾上菊之助(40)、尾上松也(33)ら次世代も確実に育っている。「昔の映像に頼るんじゃなくて一緒に演じた、ということの意味。それと伝えたいのはセリフの間かな。歌舞伎特有の江戸っ子言葉があるからね」

 豪華けんらんで河竹黙阿弥の七五調のせりふ。観客の耳に心地良く、まるで浮世絵を見るような美しさを堪能できる背景には、無数のドラマが隠されている。

 ◆5歳孫も出演 菊五郎の孫で寺島しのぶの長男・寺嶋眞秀(まほろ・5)くんも呉服屋の丁稚役で出演。「将来のことは分からないが、出たことだけでも覚えておいてくれれば」と菊五郎。約50分間、座ったり立ったり。幼いながらも自分で出るタイミングを観察してのやり取り。稽古の成果で大きな声が出ている。

 ◆弁天娘女男白浪 振り袖の武家娘が若侍を連れて呉服屋へ。見せられる婚礼支度の品々が入っている箱から、緋鹿子(ひがのこ)を胸もとに入れる。番頭は万引きと判断。もめているところへ覆面の侍が出てきて娘は実は男だ、と暴く。「白浪」とは盗人を意味する。

 ◆團菊祭とは 「劇聖」と言われた名優9代目市川團十郎と5代目尾上菊五郎の偉業をたたえ、面影をしのぶために始まった。何度かの中断を経て今年で82年。歌舞伎座の「5月の顔」として定着している。

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