最年少!最速!藤井聡太七段昇格…ひふみんの記録61年ぶり更新

スポーツ報知
中学生デビュー棋士の昇段した時期

 将棋の藤井聡太六段(15)が18日、大阪・関西将棋会館で指された第31期竜王戦5組ランキング戦準決勝で先手の船江恒平六段(31)を72手で下した。4組への昇級が確定し「六段昇段後の竜王戦ランキング戦連続昇級」の規定を満たしたため、七段への昇段が決まった。15歳9か月での七段は、加藤一二三・九段(78)が1957年4月に到達した17歳3か月の記録を61年ぶりに塗り替え、史上最年少。プロ入り1年7か月での到達は最速となる。

 21世紀天才伝説に、驚異的なスピードで新章を記した。2016年9月の14歳2か月での四段昇段(プロ入り決定)、今年2月の15歳6か月での五、六段連続昇段に続き、藤井がまたも「ひふみん」の昇段最年少記録を更新した。

 若き新七段は終局後「ここまで早いペースで昇段できるとは思わなかった。目の前の一局一局に全力で打ち込んできたのが、昇段という形で現れたのでは」と、たどたどしい言葉で話した。

 報道陣22社約50人が詰めかけて熱視線を送った対局の相手は難敵だった。初手合いの船江六段は、それぞれ土をつけられた師匠の井上慶太九段(54)、同じ門下生の菅井竜也王位(26)、稲葉陽八段(29)の“天敵一門”だ。

 夕食休憩明け直後に船江六段が指した逆襲手に46分も長考したが、攻めを受けきり、余裕を持って相手玉に詰め寄った。井上一門相手の初勝利にも「きょうも普段通りでした。意識したことはなかった」。一方の船江六段は「途中で急に差がついた」と白旗を揚げた。

 高校生棋士の道を歩んで1か月半が経過した。昨年の同時期は新年度開始から8局指したが、今年はこの日がまだ5局目。将棋連盟が「たまたま少ないだけ」と話すように、スケジュールの配慮は特に施されていないが、来月に中間テストを控える勉学との両立に励みながら、本業でしっかり“答え”を出した。

 石田直裕五段(29)との決勝戦(来月5日)を制すれば、羽生善治竜王(47)への挑戦権を争う本戦に出場する。「非常に大切な一局になるので、よいパフォーマンスができれば。今は(昇段の)喜びに浸るより、決勝に向けて気を引き締めたい」。羽生竜王にまでたどりつき、タイトルを奪取すれば、即八段。次なる伝説へひた走る。

 ◆八段への道 規定によると昇段条件は「〈1〉七段昇段後公式戦190勝」「〈2〉順位戦A級昇級」「〈3〉竜王位1期獲得」の3パターンある。藤井七段はデビューからの1年6か月で公式戦で76勝しており、このペースで勝つ単純計算なら〈1〉は3年9か月後の2022年2月に達成し、10代での八段に。〈2〉と〈3〉は道が険しい。順位戦はC級1組に昇級したばかりで、1期抜けを続ければ、B級1組からA級入りを決める〈2〉は3年後の21年の初春。〈3〉は今期の竜王戦の挑戦権を得て、今年10~12月に羽生善治竜王との7番勝負を制すれば、タイトルとともに八段昇段となる。

 ◆加藤一二三・九段「今後の活躍期待」
 「快進撃の末の史上最年少、史上最速での七段昇段、心よりお祝い申し上げます。15歳にして早くも高段者の域に達したことは見事の一言に尽きます。これからも、その類いまれなる才能と豊かな探究心、絶えざる情熱をもって、いまだ誰も見たことのない景色を我々に見せてくれることを楽しみにしております」

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