三代目JSB・ELLY、目指すところは「マイケルが一番近い」

スポーツ報知
三代目J Soul Brothersのパフォーマー・ELLY(カメラ・小泉 洋樹)

 三代目J Soul Brothersのオリジナルアルバム「FUTURE」が6日に発売された。パフォーマーのELLY(30)は「ボーカル2人のソロ楽曲も収録されてグループとして挑戦できた作品」という。自身のソロ名義・CRAZYBOYの活動も活発で、初のベストアルバム「NEOTOKYO FOREVER」を7月4日に発売し、同9日からツアーをスタートさせる。「パフォーマーがアルバムを出してツアーができると思うと感慨深い」。さらに「3年以内に世界のトップ10に入りたい」と世界進出にも意欲を見せた。野球少年がダンスに目覚めて人気アーティストに。そこにはELLY流の生きざまがあった。

 約2年ぶりとなるアルバムには登坂広臣(31)と今市隆二(31)のソロ作品に加えて、各メンバーの1年を追った長編ドキュメンタリー映画『SEVEN/7』も収録されている豪華版だ。

 「三代目としての楽曲プラス、ボーカル2人のソロの楽曲も入っていて、グループとして挑戦させていただきました。ドキュメントで僕は音楽を作っていたりしていますが、俳優やっていたりアパレルやるメンバーだったり、それぞれの“らしさ”が出ていて、メンバーの進みたい方向やクリエイティビティーの始まりを見せています。これがどう発展して三代目にどうつながっていくのか、考えながら見てもらえればうれしいです」

 同じくソロで活動しているCRAZYBOYの作品が収められていないが…。

 「自分は入ってもいいとは思ったですね。ただグループの核でやってきた2人の楽曲が入るのはバランスいいですし、まぁいきなり自分が三代目(のアルバム)に入るというのもね…。メンバーは『入れたらどうか』と言ってくれましたが、僕はどっちでも音楽が出せれば良かった。まあ、クレイジーは自分一人でスタートして、一から作り上げたアーティストという気持ちも自分の中にありますから」

 三代目JSBではパフォーマーの立場だが、楽曲制作は以前から積極的に行っており、ずっと発表の機会をうかがっていたという。

 「自分が劇団EXILEにいる時から仲間と音楽制作してました。ずっとやりたい気持ちがあった中で、三代目のリハーサルのゲネプロの時に『今、俺ちょっとやりたい』と思ったらマイク持ってステージに上がってました。2度目のツアーの時で、パフォーマーがダンスしなきゃいけない場面です。そこでいきなりラップ始めたから周りは『何が起こった』って感じで、正攻法ではないけどやるしかなかった。相談しても『何言ってんだ』となるのも分かっていたし、一番頭に残すためには人がたくさんいるステージで見せるのが一番早いですからね」

 ―周囲の反応は。

 「『マジ受ける』とか『何やってんだ』といろんな声がある中、登坂君は『エリーすごいね。こんな人見たことない。マジ応援している』と言ってくれました。この一歩が自分的にはすごく大きかった。まだ会社は100%(ソロ活動を)分かってくれなかったですが『俺にしかできない』という自信もあって、もっと音楽のクオリティーを高めて提示しようと考えました」

 サポートを得られない中、目を付けたのは楽曲配信。この成功がCRAZYBOYの活動を決定づけた。

 「会社を納得させるためにはできることを見せるしかない。いきなりCDといってもビックリするし、そもそもお金も使えないワケで、当時誰もやっていなかったデジタル配信を使いました。データ出すだけで金もかからないしね。LDHでは初めての試みで、10個のサイトで1位になりHIROさんに『やった方がいい。頑張れ』と言ってもらいました。(登坂広)臣と同じぐらい早い時期にSHOKICHIさんにも『一緒に曲を作ろう』と声を掛けていただき、自分のCDに僕を入れてくれました。うれしかったな、絶対に忘れません。今は関口メンディーやスダンナユズユリーらもラップを始めてます。それって100%俺から生まれたと思っています。びびらずに発信することが大切だと言いたいです」

 ベスト盤発売に合わせ全国7か所のツアーが始まる。会場はファンの顔が間近で見られるようにと、ライブハウスを選んだそうだ。

 「パフォーマーがアルバム出したり、ツアーなんて誰も予想してなかったでしょ。い~や、うれしいっす。アリーナとかドームだと僕らが遠い存在に見えたりするじゃないですか。でも僕は人よりダンスがちょっとだけできて、こういう表現が好きなただの男です。ファンとの関係もアーティストとしてではなく、普通の人として近い距離でコミュニケーションを取りたい。人間の僕をみんなにぶつけて本当のつながりを持ちたいと思って会場も選びました。プライベートパーティーなのでここに来た人だけが見られるものもあります(笑い)」

 ―地元の青森(16日・八戸公会堂)のライブもある。

 「青森で三代目は一回もやったことがないんでね、初お目見えです(笑い)。これでおばあちゃんにやっと見てもらえます。もう八十何歳なので東京には来るのは難しいし、僕、おばあちゃんっ子なんで念願がかなってうれしいっす」

 三沢高では捕手で4番、青森県大会では巨人の坂本勇人(光星学院)と対戦していた。プロ野球を目指して東農大に進学したが、ダンスの魅力に“瞬殺”された。

 「渋谷のクラブで『BASE HEADS』というダンスチームの踊りを見た時に『あっ俺、絶対これになる』と。それまでずっとプロ野球選手になりたいと思ってたんですが、もう一瞬でしたね。大学1年の時で2年の時には(野球部)やめてました。親に報告したら『帰ってくんな』って。悲しかったんでしょうね。特待生で大学に入って、地道に普通の人生を送ってほしいと思っていたでしょうから。で、大学やめて就職もしないもんだから(実家に)帰った時も、ウチに入れてくれなくて友達んちに泊まりましたよ。それぐらい怒っていました。僕は『大丈夫だから見ていてよ』という感じでメッセージを送ると『ダンスやって将来どうすんの』。『絶対すごくなるから』といったやり取りをしてました」

 ―昔から有言実行。

 「思ったらそこにいくまでやる。途中でやめることはないです。例えば『世界のトップ10に入るように頑張る』と言えば、そこまでやります。はい。正直、世界でトップ10になりたいです。3年以内にはなりたいですね。新聞に書いておいてもらえれば、やるしかないんでやります(笑い)」

 持ち前の運動神経を生かしてダンサーとして頭角を現した。LDHからスカウトを受けるが、最初は劇団EXILEからのスタートだった。

 「自分でいうのも何ですが、渋谷の『ハーレム』『ブエノス』とかで踊っていて、自分が出る時にはパンパンに人が入ってました。その頃に今のEXPGの社長に『二代目JSBのメンバーで舞台があるからゲストダンサーで出てよ』と頼まれました。二代目のメンバーの他は全員がLDHの所属で、外部は俺だけで、友達いないし気まずかったな…。その時会ったのが(山下)健二郎さん。舞台をやり切った後にまた呼ばれて、健二郎さんがやけに真面目な顔して(白濱)亜嵐と突っ立っているんですよ。どうも劇団EXILE風組のメンバーを決める場だったらしく、そこでHIROさんから『エリー、劇団に入らないか』と誘われて『えっ、劇団に』とびっくりしました」

 ―ダンサー志望ですよね。

 「ええ。まぁHIROさんに言われたら入るしかないじゃないですか。そこで言いました。『僕は劇団やります。でも絶対に音楽とダンスで輝きたいから音楽を作るグループに所属できなかったらやりません』と。そしたら『JSBで新しいのを作るからそこに入って』って。もうHIROさんの頭の中には三代目の青写真があったんですね。グループが始動した時はパフォーマーは僕とNAOKIさん、NAOTOさんの3人。後から『ダンサー誰がいい』となって岩ちゃん(岩田剛典)が決まって健二郎さんです。ボーカル・バトルでは、この2人(登坂、今市)が三代目になるんだろうなと思って見ていました」

 パフォーマー、ラッパー、振付師とさまざまな顔を持つELLYが目指すものは。

 「結果でいうと1位とか何枚売れたとかでしょうが、そうじゃない。そう、マイケル・ジャクソンが一番近いかな。それは自分のスタイルとか、絶対自信持っていることを前に出していきたいということです。日本やアメリカの人たちがもっと自分に触れてほしい。あと、将来は社長になりたいっす。なんだかんだいって一番はHIROさんになりたい(笑い)。自分が進むことで(エンターテインメントを)どんどん大きくしていきたいですね。HIROさんから『来年はアメリカ行け。世界で出せるようにやるから』と言っていただきました。僕が次に達成しなきゃいけないことなので、これは絶対にやります」

 隠し事なし。何を言っても愛されるキャラは彼の人間性があってのもの。新たな道を開く裏にはまさにCRAZYな覚悟がある。(ペン・国分 敦)

 ◆三代目は「同級生」

 ―三代目JSBはボーカルもパフォーマーも仲がいいが。

 「ボーカル2人がグループの真ん中の年なんでバランスもいいっすね。そもそもはそうでもなかったんですが、僕も曲を作るようになって、その中で『それ微妙だよ』『それいい』とか気を使わずにちゃんとぶつけられるところがいいんじゃないですか。ボーカル2人は1こ(年)上ですが、敬語ではしゃべんないっす。岩ちゃん後輩ですが、僕にも敬語でしゃべんない。まぁリーダー2人だけには敬語ですが…。僕ら7人が一人一人が違うところから来ているので、みんな同級生という感じもありますね。それにお互い干渉しないです。『お前のやりたいことやれ』っていう感じ。NAOKIさんもハリウッド目指してもイケイケだし、岩ちゃんは日本の俳優で頑張ったり、僕はボーカル2人と違うラップやブラックミュージック作っているしね。本当にみんな方向性が違うのが三代目の強みですね」

 ◆三沢ならではのDJがきっかけ

 音楽を始めたきっかけはDJからだった。米軍のキャンプがある三沢の土地柄も大きかったようだ。

 「小6の時にお年玉でDJ機材を買ったんですね。三沢ですごいはやっていて『これいい』と思った瞬間に買っていました。小学生なのに地元のレコードショップに行ってアナログ盤を買っては店長さんにDJのやり方を教わって、家に帰ってレコード回してました。音楽の原点はあそこですね。とにかく三沢はお祭りもすごいし、音楽すごくかかる。いっつも音楽がドンドンで、車も窓開けて音楽かけて走っています。本当にアメリカのイメージする感じの街だから(自分も)こんなになっちゃいました」

 ◆ELLY(エリー) 本名エリオット・ロシャード・昂矢(こうや)。1987年9月21日、青森・三沢市出身。30歳。2010年4月、劇団EXILE風組に入団し、同7月に三代目J Soul Brothersのパフォーマーに。CRAZYBOY名義でラッパーとしても活動を始め、14年6月にSHOKICHIのシングルに参加。17年2月にアルバム「NEOTOKYO EP」をデジタル配信。振付師でも活躍し、三代目JSBの「R.Y.U.S.E.I.」の間奏での「ランニングマン」を考案。父親は米国人で元OPBFスーパーウエルター級王者のカーロス・エリオット、弟はTHE RAMPAGEのLIKIYA。身長172センチ、血液型A。

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