松田龍平、井上ひさし氏原作×長塚圭史氏演出「イーハトーボの劇列車」で舞台初主演…宮沢賢治役

スポーツ報知
宮沢賢治役で舞台初主演する松田龍平

 俳優の松田龍平(35)が、来年2月に東京・新宿の紀伊国屋ホールで上演されるこまつ座の舞台「イーハトーボの劇列車」(作・井上ひさし、演出・長塚圭史)で、舞台初主演することが19日、分かった。井上さんが敬愛した詩人・宮沢賢治を描いた評伝劇で、松田は賢治を演じる。

 故郷の岩手から生涯で9回上京した賢治だが、列車の中での様子と東京の滞在先での出来事を軸に、22歳から35歳までの姿を描く。国の中心は東京なのか、岩手と世界がつながる方法はないのか―。劇中では賢治が抱く理想と、東京で直面した厳しい現実が語られていく。

 松田は1999年の映画「御法度」に主演で俳優デビュー。映画「舟を編む」(13年)で報知映画賞主演男優賞を受賞するなど、日本の映画界を代表する実力派となったが、意外にも舞台初主演。舞台自体も、長塚氏演出作「冒した者」(13年)以来6年ぶりになる。「この度、宮沢賢治の生涯を演じることになりました。まだ何も実感はありませんが、この舞台をやることに縁を感じています。自分と皆様と劇的な体験になれば」と意気込みを寄せた。

 タッグを組む長塚氏は12年2月、井上さんの出身地の山形県川西町の文化施設で作品を読みふけったという。「脳内劇場での宮沢賢治は、まさに松田龍平君でした。彼はこの世の淵(ふち)に立つことのできる稀有(けう)な俳優。宮沢賢治は世界が見渡せる遥(はる)かの丘の淵に立ち、今もそこから見つめているのではなかろうか。龍平君と素晴らしい仲間たちと、憧れの戯曲に取り組めることを楽しみにしています」とコメントした。

 ◆井上さん三女・こまつ座代表の麻矢さんも期待

 井上さんの三女で、こまつ座の井上麻矢代表も松田に期待を寄せる。「宮沢賢治といえば、詩人であり、童話作家であり、宗教家で音楽家、科学者で農業技師、教師でもある。どれもが素晴らしく、宇宙から遣わされた伝道師のよう。演じていただくには、松田さんのように自分の中に宇宙を持つような俳優さんでなくては、と。柔らかく優しくありながら、どこか浮世離れしている姿が重なった」。舞台は地方公演も予定しているという。

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