「風の谷のナウシカ」が新作歌舞伎に 宮崎駿作品で初、菊之助、七之助、松也ら出演

スポーツ報知
「風の谷のナウシカ」より(C)Studio Ghibli

 世界的アニメーターで映画監督の宮崎駿氏(77)の初期の代表作「風の谷のナウシカ」(1984年公開)が新作歌舞伎になることが11日、分かった。

 来年12月、東京・新橋演舞場で尾上菊之助(41)、中村七之助(35)らの配役で上演(G2演出)されるもので、宮崎作品初の歌舞伎舞台化だ。

 「―ナウシカ」はスタジオジブリ誕生の原点ともいえる作品。戦争で滅びた産業文明社会。人間は巨大生物、有毒な大気の中で生きる終末世界を舞台に、人や自然の進むべき道に苦悩する少女ナウシカを主人公にした物語。宮崎監督のメガホンで84年3月公開後、海外でも愛され続ける名作の一つとなった。

 ナウシカ役は菊之助。今回、歌舞伎舞台化のアイデアを出した発案者でもある。2017年にはインド神話の新作歌舞伎「マハーバーラタ戦記」を成功に導き、放送中のTBS系「下町ロケット」(日曜・後9時)の演技でも注目を集める。主人公と対になる皇女クシャナ役に、スタジオジブリ制作の「かぐや姫の物語」(高畑勲監督)で声優を務めた七之助。その他に尾上松也(33)、坂東巳之助(29)、尾上右近(26)と勢いづく成長株が顔をそろえる。

 関心を集めそうなのが昼夜通しで上演される点。原作は全7巻。82年雑誌「アニメージュ」で連載され13年を要して完結した大作。脚本は「借りぐらしのアリエッティ」(10年)、「思い出のマーニー」(14年)などのジブリ作品を担当した丹羽圭子氏が執筆し、原作を完全上演する大胆プランで進行中だ。スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは、「ナウシカを『古典歌舞伎』でやる。それが面白いと思ったし、どういうものができるのか楽しみです。一観客として楽しませてもらいます」と期待を寄せている。

 ◆一度ボツも原作つくり連載開始

 映画「風の谷のナウシカ」の製作は、後にジブリ(85年6月設立)に発展的解散するアニメ制作会社「トップクラフト」で、東映配給。映画化は鈴木プロデューサーの逆転の発想から生まれた。

 当時、「アニメージュ」(徳間書店)で宮崎監督を担当。ナウシカの劇場アニメ化を企画するも「原作がない」の理由で一度ボツに。メディアミックス全盛期。「ならば原作をつくってしまえ」と82年に連載を開始し人気のうねりを作って封切りにこぎつけ、91万人を動員した。

 作品はその後のアニメ史、映画史を大きく変えた。描かれる内容は重く、環境破壊など暗示することは多い。34年たつが作品に古さはなく、逆にその“真価”を発揮している。新元号で生まれるこの舞台は、歌舞伎の歴史をも変えるかもしれない。

 ◆海外公演見据え、漫画の歌舞伎化が増加

 将来的な海外公演も見据えながら、近年はヒットした漫画の歌舞伎化が増加。2015年初演「ワンピース」(尾田栄一郎作)、8月に上演された「NARUTO―ナルト―」(岸本斉史作)が話題に。また人気絵本「あらしのよるに」(木村裕一作)の新作歌舞伎も評価は高く15年初演後、再演を繰り返している。

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