【報知映画賞】主演女優賞・篠原涼子「この大切な出会いを、来年につなげたい」

スポーツ報知
娘役の稲垣来泉から花束を受け取り、笑顔を見せた主演女優賞の篠原涼子(カメラ・相川 和寛)

 「第43回報知映画賞」の表彰式が18日、東京・港区のザ・プリンス パークタワー東京で行われた。「人魚の眠る家」(堤幸彦監督)、「SUNNY 強い気持ち・強い愛」(大根仁監督)で主演女優賞に輝いた篠原涼子(45)は「夢のようです」と感無量。映画賞の個人賞受賞は初めてで、「こんなに素晴らしい賞をいただけた。厚みをつけて、自分の力で来られるように」。再びこの舞台に帰ってくることを誓った。

 夢心地だった。スポットライトを浴びると、ジワジワと受賞の喜びが湧いてきた。

 30年近い芸能生活で、初めてつかんだ主演女優賞。篠原は「『報知映画賞はすごい賞だよ』と伺っていた。いただけると知った時は、ビックリしてしまいました。こんな自分でいいのかな…って、冷静に考えられなかったし、恐縮してしまった」。緊張しながらも時折、穏やかな笑みを浮かべ、「内心はすごくうれしいです。ありがたいと思っています」と感謝の思いを伝えた。

 「人魚の眠る家」では、プールの事故で意識不明になったまま眠り続ける娘に、深い愛情を注ぐ母親を演じた。娘役の稲垣来泉(くるみ、7)から花束を贈られ、原作者の東野圭吾氏(60)から手紙が届いたが、一番のサプライズは、受賞に導いた堤監督の登壇だった。

 俳優の市村正親(69)と2005年に結婚し、自身も長男(10)、次男(6)と2人の子を持つ母親。堤監督からは「実人生をキチッと生きている方、母親としての気持ちが作品に表れていた。泣かされました」と最大級の賛辞。「武骨なまでにマジメに取り組み、全身で楽しむ芝居をしていた。女優としての理想の形。我々製作者の最終兵器でいてほしい」と激励された。撮影現場から駆け付けた“恩師”に「愛されているなと、(感情が)あふれました。涙が出そうになりました」と感激した。

 主演女優賞の歴代受賞者には、「人魚―」で祖母役だった松坂慶子(1981、90年)、吉永小百合(84、12年)、樹木希林さん(15年)らそうそうたる顔ぶれが並ぶ。この日、希林さんの15年時の表彰式の映像が流れると、目に焼き付け、思いをはせた。「すごい方々ばかり…。私は魅力的なキャストの素晴らしい演技のおかげで、この場に立たせていただいた。自分自身の力というより、作品に支えられました」と謙遜した。

 89年に10代で芸能界入り。アイドルから歌手、女優へと走り続けた。10代の頃は「プライベートの記憶がないくらい」ほど多忙を極め、苦労も多かった。その時に経験したスタッフ、裏方への感謝が、受賞時の「出演者を代表してもらっている気持ち」「周囲のおかげ」という言葉につながっている。

 作品との出会いは、市村の「涼子がやるべきだ」のひと言。篠原は「ステキな出会いの多い1年だった。この大切な出会いを、来年につなげたい」と話した。「(受賞の)この気持ちを忘れないで、ステキな作品に巡り合えるように精進していきたい。厚みをつけて、自分の力で(表彰式に)来られるようになりたい」。この景色を眺めるために―女優業に情熱を注ぐ。(加茂 伸太郎)

 ◆篠原 涼子(しのはら・りょうこ)1973年8月13日、群馬県生まれ。45歳。90年東京パフォーマンスドールでデビュー。91年フジ系「ダウンタウンのごっつええ感じ」のレギュラー。94年「恋しさと せつなさと 心強さと」でNHK紅白歌合戦初出場。2001年「ハムレット」で舞台初出演。04年日テレ系「光とともに…~自閉症児を抱えて~」で連ドラ初主演。代表作に「anego」「アンフェア」「ハケンの品格」。身長162センチ。血液型B。

 ◆人魚の眠る家 離婚寸前の仮面夫婦・薫子(篠原)と和昌(西島秀俊)のもとに、「娘がプールで溺れた」という悲報が届く。回復の見込みもなく、意識不明のまま眠り続ける娘(稲垣来泉)。過酷な運命を背負うことになった夫婦は、奇跡を信じ、ある選択をする。

 ◆SUNNY 強い気持ち・強い愛 コギャルブームに沸いた90年代と、現代が交錯する物語。専業主婦の奈美(篠原)は、高校時代の仲良し6人組「サニー」のリーダー・芹香(板谷由夏)に再会。末期がんの彼女に「サニー」の再集結を託され、次第に生活が慌ただしくなる。

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