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視聴率2ケタ超え新番組ここまでゼロ…フジ「史上最大の改編」の成果は「長い目で」

2018年4月28日11時0分  スポーツ報知
  • 東京・台場のフジテレビ本社

 民放キー局の社長会見の真っ最中、なぜか、新日本プロレスの人気レスラー・内藤哲也(35)の決めゼリフ「トランキーロ(スペイン語で『焦るなよ』の意味)」という言葉が何度も頭の中でこだました。

 27日、東京・台場のフジテレビで行われた宮内正喜社長(74)の定例会見。「これだけは聞こう」―。そう心に決めて会場に向かった。現在、平均視聴率で民放キー局中4位と不振の同局が4月に断行した「史上最大の改編」の1か月経過しての成果について、どうしても同局トップに聞きたかった。

 “勝負の4月”に新たに始まった「月9」ドラマ、長澤まさみ(30)主演の「コンフィデンスマンJP」初回の平均視聴率が9・4%。同局系の関西テレビ制作の坂口健太郎(26)主演「シグナル」は9・7%。ディーン・フジオカ(37)主演「モンテ・クリスト伯―華麗なる復讐―」はわずか5・1%だった。

 バラエティーの“新顔”も伸び悩んだ。30年続いた伝統のバラエティー「みなさんのおかげでした」の後番組「直撃!シンソウ坂上」は8・7%、「梅沢富美男のズバッと聞きますSP」は7・4%。「みなおか」が終了した「とんねるず」石橋貴明(56)をMCに据えた「石橋貴明のたいむとんねる」は初回ゲストに工藤静香(48)を迎えたが、3・9%。「林修のニッポンドリル」初回2時間SPも7・3%だった。

 まだ新番組は残っているが、ここまで同局の4月クールのニューフェースで2ケタ超えを果たした番組はゼロ。ライバルの日本テレビは4月ほぼ無改編も土、日曜のバラエティーが盤石の強さを見せ、22日までの週間平均視聴率で変わらずトップをキープ。テレビ朝日も、「V6」井ノ原快彦(41)主演「特捜9」初回が16・0%、波瑠(26)主演「未解決の女 警視庁文書捜査官」も14・7%と、4月ドラマの初回視聴率1、2位をこの2作で占め、週間視聴率の全日部門(午前6時~深夜0時)で日テレに並びトップとなった。

 1位・日テレ、2位・テレ朝の構図は変わらず。フジは3位のTBSにも大きく引き離され、全日、プライム(午後7時~11時)、ゴールデン(午後7時~10時)3部門とも4位。特にプライム、ゴールデンでは5位のテレビ東京に、それぞれ1・1ポイント、0・8ポイントの僅差に迫られるなど不振脱却は果たせていない。

 「楽しくなければテレビじゃない」のキャッチフレーズのもと、82年から93年まで12年連続で視聴率「三冠王」に輝いた栄華も昔話になりつつある。昨年6月に就任した宮内社長の「視聴率を上げて業績を回復する」という大号令のもと、この4月に断行した全日28・2%、ゴールデン29・8%、プライム29・5%という「史上最大の改編」でも、そう簡単に結果は出ない。それが今のフジテレビの置かれた状況だ。

 だからこそ席上、宮内社長と編成、制作、宣伝の総責任者である石原隆取締役編成統括局長(57)に聞いてみた。

 「史上最大の改編でスタートしたドラマ、バラエティーが視聴率2ケタに届かない状態だが、どのように見ているのか?」

 宮内社長はいつもの張りのある声で、こう答えた。「去年の10月改編、今年の4月改編、この秋の10月改編と3つのセット改編で勝負していく。結構、息の長い作業を現場にも指示をしています。ドラマ、バラエティーの新企画がそれぞれ改編で出てきているが、すぐに2ケタを取る企画であるとか、短期間で評価はしないと、私は思っています。トータル3セット改編の成果を見て、次にどう展開していくかを考えたい」。

 石原局長は、もっと冷静だった。「まだ始まったばかりなので、評価を下すのは難しい所があります」と、こちらの鼻息の荒さを牽制するように、まず一言。「特にバラエティーは段々、時間をかけて育っていく側面がある。ただ、1月クールに比べると、プライムタイムでスタートさせたバラエティーが、その前にやっていた番組より数字を上げてきています。ドラマも1月の非常に厳しい連続ドラマの状況より『月9』にしても数字を上げている。大いに期待できるとは思っています」。

 石原局長は3月末、「スポーツ報知」の単独インタビューに、こう答えていた。

 「失ったフジテレビへの好感度や信頼を回復するには、見たいと思ってもらえる番組を作るしかない。ブランドイメージを復活させるものは、やはり、番組であると思う。ここのところの厳しい状況になったのは、お客さんが見たいと思う番組がなかったんだと。フジを復活させるためには、お客さんが見たいと思う番組を作るしかない。ブランドというものはテレビ局だけの話ではなく、商品そのものの力、魅力が形成していくものだと思う。テレビにとっては、それが番組だと思います」。

 決して焦らず、徐々にフジに対する信頼とブランド力を回復していこうとしているのが、トップ2人の姿勢。それに気づいた時、こちらの頭の中には「トランキーロ」という言葉が鳴り響いた。まだ4月末の段階で視聴率という、どこか取り留めのない数字を材料に早急な結果を求める、こちらの方が前のめり過ぎたのは確かだ。

 そう、テレビ各局の業績争いは長期戦。逆境にあるフジが4月クール残りの2か月、そして、勝負の10月改編で、どう盛り返していくのか。興味は募るばかりだ。(記者コラム・中村 健吾)

(数字は関東地区、ビデオリサーチ調べ)

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