【報知映画賞】特別賞受賞に北野武監督「よっぽど選考委員は俺のことが嫌いなんだろうな」

2017年11月29日7時0分  スポーツ報知
  • 「報知の映画賞をもらうのはありがたいよ」。19年ぶり3度目の受賞となった北野武監督

 「第42回報知映画賞」の各賞が28日、発表され、個人や作品をたたえる特別賞には、映画「戦場のメリークリスマス」(83年)で共演し、映画界を代表する巨匠となった2人の作品が選ばれた。自身初のシリーズものとなった「アウトレイジ」3部作を完結させた北野武監督(70)と、米アカデミー賞受賞歴もある音楽家・坂本龍一(65)を追ったドキュメンタリー「Ryuichi Sakamoto:CODA」のスティーブン・ノムラ・シブル監督(46)がダブル受賞した。

 「若手の評論家がみんなホメてくれて、興収も15億円を超える人気だから作品賞に決まったかと思ったら…え、特別賞って何だよコレ(笑い)!? よっぽど選考委員は俺のことが嫌いなんだろうな。選考委員、誰?」

 ビートたけしの表情になって毒ガスを噴射した男は、北野武の顔に戻って喜びを口にした。「3部作にくれるんだ。ありがたいね。報知の映画賞をもらうのはありがたいよ。どっかの各社持ち回りのインチキな賞もあるけどさ」

 2010年。アート系作品を3作続けていた北野監督は「もう一度、デッサンを描こう」と原点に回帰。バイオレンス作「アウトレイジ」に着手する。「いくらいい絵を描いても画商が付かなきゃ売れない。こういう映画は深作(欣二監督)さんの『仁義なき戦い』で客は入るって分かってた。深作さんみたいに生き返らせたりはしないから、役者が足りなくなるまでやろうって。だから、出たいって人がたくさん来てくれたのはありがたかったんだ」

俳優熱意支え 西田敏行(70)をはじめ、多くの俳優が出演を熱望して成立したシリーズ。娯楽大作として出発したが「ビヨンド」「最終章」と続くにつれ、北野作品独特の孤独や虚無が漂うようになった。「普通の暴力映画なんて撮ってもただのVシネになるから、殺し方やヤクザの描き方はキツくやった。最終章は、こういうアートの描き方もあるっていうケジメをつけた」

 撮り終えた今、日本版フィルムノワールとしての「基準」を手にした感覚がある。「外国にはタランティーノやスコセッシもいるけど、日本では『アウトレイジ』が日本記録みたいなもんだろう。誰か若い監督がぶちこわして新しい基準を作ってくれればいいけど、超えられるかなってのはあるよね」

 監督デビューから28年。オリジナル脚本のみで18本撮り続けてきた。1991年の「あの夏、いちばん静かな海。」で監督賞、98年の「HANA―BI」で作品・監督賞を得て以来の受賞となる。「映画では若い素人と思ってきたけど、いつの間にかベテランになっちゃった。まだ俺の本筋ではないと思ってるトコはあるから、よくやってきたなとは思うけど、監督だけやってたらもっとすごい映画を撮っただろうって気持ちもあるよ」

 3部作を通じて自ら演じた主人公のように、北野武は冷ややかに笑った。(北野 新太)

 ◆北野 武(きたの・たけし)タレント名・ビートたけし。1947年1月18日、東京都足立区生まれ。70歳。89年に「その男、凶暴につき」で監督デビュー。97年の「HANA―BI」でベネチア国際映画祭金獅子賞(グランプリ)、2003年の「座頭市」で同映画祭銀獅子賞(監督賞)受賞。

 ◆「アウトレイジ」シリーズ 裏社会に生きる男たちの仁義なき抗争を描いたバイオレンス作品。2010年「アウトレイジ」、12年「アウトレイジ ビヨンド」、17年「アウトレイジ 最終章」の3部作。キャッチコピーは「全員悪人」で、登場人物はそれぞれ「バカヤロウ!」「コノヤロウ!」の脅し文句を応酬させる。累計興収約40億円を記録した。

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