【報知映画賞】主演女優・蒼井優、恩師・中嶋しゅうさんにささげる

2017年12月21日6時0分  スポーツ報知
  • スポットライトを浴びて入場する蒼井優(カメラ・矢口 亨)
  • 蒼井優に花束を贈る阿部サダヲ

 「第42回報知映画賞」の表彰式が20日、東京都港区のザ・プリンス パークタワー東京で開催された。主演女優賞に輝いた蒼井優(32)は、対象作「彼女がその名を知らない鳥たち」で共演し、この7月に急逝した中嶋しゅうさん(享年69)へささげる賞となった。

 スピーチを終え、記者の取材に応じた蒼井の瞳は、オパールのようにとらえどころのない、ファジーな光を放っていた。その横顔はものすごく無邪気にも見えたし、一方で静かに泣いているようにも見えた。「なんだか、思いがあふれちゃって」。報知映画賞は「フラガール」で助演女優賞を受賞した06年以来11年ぶり。「賞の喜びの倍のつらさとかを味わって、やっといただけるんだなと思います」とあらためて重みをかみしめた。

 「彼女がその名を知らない鳥たち」で蒼井が演じたヒロイン・十和子は、たくさんの男に翻弄されていく。とりわけ、かつての恋人・黒崎(竹野内豊)に紹介された不気味な男・國枝を演じた中嶋しゅうさん(享年69)への思いは強い。15年「スポケーンの左手」、16年「あわれ彼女は娼婦」と立て続けに舞台で共演し「心から尊敬している人。ものすごく偉大で、同時にものすごく近い先輩でもあった」。心の師ともいえる存在だっただけに、映像での初共演は念願でもあった。

 その中嶋さんは今年7月、舞台公演中に倒れ、サヨナラも言えぬまま帰らぬ人となった。「彼女―」は中嶋さんの遺作となった。「しゅうさんの役が、十和子の基になっている。しゅうさんとの出会いは本当に大きかった」。受賞の知らせを聞いた後、蒼井は中嶋さんの自宅を訪ねた。「(賞を取ったと)報告させていただきました。喜んでくれてたらいいな」。表彰式のステージにも、中嶋さんの役者魂とともに立ったつもりだった。

 「たくさんの方に感謝です。来てくださった阿部サダヲさん。松坂桃李さんは(表彰式の舞台袖で)手を振ってくれました。スタッフの皆さん、私よりももっと悔しい思いをして、一緒に歩いてくれたマネジャー…。あらためてお礼を伝えることができるのも、こういう機会だからこそ」と蒼井はほほえむ。これまで出会った人、もう会えなくなってしまった人。その全てが、蒼井の女優人生の中で息づいている。(宮路 美穂)

 ◆蒼井 優(あおい・ゆう)1985年8月17日、福岡県生まれ。32歳。99年ミュージカル「アニー」でデビュー。2001年「リリィ・シュシュのすべて」で映画デビュー。来年1月9日から舞台「アンチゴーヌ」(東京・新国立劇場)に出演予定。映画「妻よ薔薇のように 家族はつらいよ3」が来年公開予定。

 ◆「彼女がその名を知らない鳥たち」 沼田まほかる氏の小説が原作。同せい中の陣治(阿部)の稼ぎで怠惰に暮らすクレーマーの十和子(蒼井)は、かつての恋人・黒崎(竹野内)に似た男・水島(松坂)との不倫にふけるが、あるとき黒崎が失踪した事実を知る。白石和彌監督。

 〇…「彼女―」で、蒼井演じる十和子と暮らす恋人役を演じた阿部サダヲ(47)が花束ゲストとして駆けつけた。「蒼井さんのお芝居を、スクリーンじゃなくて身近で見てて、すごい女優さんだと思いました。間違いないんですよ」と絶賛。表彰式独特の空気にモジモジしながら「あのキャラクター、なんですか?」とスポーツ報知の「Ho!さん」を名指しし会場を笑わせていた。

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