“ナイスガイ”オカダ・カズチカが変わった! 大歓迎の「怖さ」全開ファイト

2017年12月1日12時0分  スポーツ報知
  • 11月30日の新日本プロレス後楽園ホール大会で「怖いファイト」を全開にしたオカダ・カズチカ
  • チョークースリーパーで絞め落とした内藤哲也を見下ろすオカダ・カズチカ

 191センチ、107キロの肉体が暴走すると、こんなに怖いものなのか。11月30日の新日本プロレス後楽園ホール大会で、そんなことを思った。

 この日5試合目の6人タッグ。新日にカネの雨を降らせる「レインメーカー」IWGPヘビー級チャンピオンのオカダ・カズチカ(30)がリングに上がった。

 ウィル・オスプレイ(24)、外道(48)と組んでの試合。相手チームには新日最大の大会、来年1月4日の東京ドーム大会のメインイベントで自身の王座に挑戦する今年のG1王者・内藤哲也(35)がいた。

 オカダはゴングと同時に内藤を「来いよ、来いよ」と手招きして挑発。まだ、Tシャツも脱いでいない内藤を場外にたたき落とすと、いきなり鉄柵に叩きつけた。その後も試合そっちのけで場外で内藤を痛めつけ続ける。

 試合はオスプレイが必殺のオスカッターでBUSHI(34)を葬り、3カウントも、オカダの標的は終始、内藤のみ。終了のゴングが鳴り終わっても、その首にかけたチョークスリーパーを解かず、内藤を失神状態に追い込む。札止め1717人の観客も静まり返る冷酷そのものの行動。IWGPヘビーのベルトを肩にかけ、倒れたまま全く動かない内藤をジッと冷たい目で見下ろした。

 新日の最高峰・IWGPヘビー級王座を8度防衛中の絶対王者。新日入団時の先輩・中邑真輔(37)に「身長1センチにつき1000万円の価値があるぞ」と言わしめた日本人離れした巨体に50メートル5秒台の身体能力。高角度のドロップキックに必殺のレインメーカーと、強さはお墨付きだが、その人柄の良さもまた周知の事実になりつつあった。新日は昨年、芸能プロダクション・アミューズと業務提携。福山雅治、星野源らを擁する大手事務所が取材や番組出演の窓口になったことで、ルックス抜群の絶対的エースのバラエティー登場の機会も激増した。

 しかし、数々の番組で底抜けの笑顔を振りまくたびに垣間見えてしまうのが、その「いいヤツ」「ナイスガイ」ぶりだった。

 IWGPヘビー級王座8度目の防衛戦目前の今年8月、72分間に渡って、単独インタビューする機会があった。その時感じたのも、こちらの質問を正面から受け止め、きちんと答え続ける頭の良さに加え、真面目さと律義さだった。

 例えば「いろんな人に知ってもらいたいです。プロレスを、オカダ・カズチカを。こうやって一生懸命戦っている中で見てもらえないと、戦っている意味もないですし。見てもらうんだったら、みんなに興奮してもらいたいですし。一生懸命60分戦っても地球上で10人しか見てなかったら、たまらないじゃないですか」という答え。どうだろう? 最後の「たまらないじゃないですか」あたりに29歳(当時)の好青年がまとう柔らかな空気感が伝わってこないだろうか。振り返って見ても、そんな肩ひじ張らない自然体の答えの連続で、あっと言う間に気持ち良く時間が過ぎたのを覚えている。

 このインタビューが掲載された直後、SNSで時折、連絡を取り合っている大学の後輩から連絡があった。友人にオカダの大ファンが数人いるという彼女は「みんな、あの、ちょっとアカ抜けないイモ兄ちゃん的な一面が、かえって魅力的と言ってます」と綴っていた。

 そう、徐々に広がる「オカダいいヤツ説」―。強くて格好良くて、性格も良くて―。そんな世間が作り上げつつある姿に11月8日に30歳になったばかりのスーパースターは抗いつつあるようにも見える。

 俺は怖い戦いもできるぞ! そんな熱い思いが噴出したかに見えたのが、この日のリングでの戦いぶりだった。リングを下りた後も「(内藤は1・4への準備は)まだか? まだなのか? 俺は焦っている。ガンガン行かせてもらうぞ!」と汗まみれの顔で言い放つと、「レインメーカーは殴るだけじゃないんだよ。俺はジャベ(メキシコの間節技)だけじゃないし…。ジャベ、ジャベ、うるせえよ。覚悟しとけよ」。興奮のあまり、後半部分はやや意味不明だったが、その迫力は十分に伝わってきた。

 10月10日の内藤とのIWGP王座戦発表会見でオカダは前を見据えて、こう言っていた。「いい試合をしようなんて、全く思ってないです。このベルトを守ることが第一なんで」―。そう、ベルトを守るためには、どんなダーティーなファイトも辞さない―。そんな、オカダの新機軸が一ファンとして見てみたいと、その時思った。

 ナイスガイの横顔を脱ぎ捨てた、なりふり構わぬファイト。それを目にした時、1月4日、東京ドームを埋めた2万人以上のプロレスファンはオカダ・カズチカという日本マット界が生んだ最高傑作の本当の魅力に出会うはずだ。(記者コラム・中村 健吾)

  • 楽天SocialNewsに投稿!
格闘技
今日のスポーツ報知(東京版)