レスナーが王座持ち逃げ? 新日本の黒歴史がWWEで繰り返される!?…金曜8時のプロレスコラム

スポーツ報知
IWGPヘビー級王者時代のブロック・レスナー(2006年3月撮影)

 このコラムで何度も実現を訴えてきたWWE王者・AJスタイルズ(40)と中邑真輔(37)の一騎打ちが、4月8日(日本時間9日)に行われる世界最大のプロレスの祭典「レッスルマニア34」(米ルイジアナ州メルセデス・ベンツ・スーパードーム)でWWE王座戦として行われることが最終決定した。11日(同12日)にAJがPPV大会「ファストレーン」でのシックスパック・チャレンジ(6人による王座戦)で防衛に成功したのだ。

 14日(同15日)のスマックダウンで、AJが「ファストレーンで防衛して、これでレッスルマニアに行ける。対戦相手はWWE史上もっとも偉大な日本人スーパースター中邑真輔だ」と言うと、中邑が現れ「レッスルマニアで夢が実現する。俺の夢はお前にヒザを叩き込み、チャンピオンになることだ」と王座奪取へ意気込んだ。これで2016年1月4日に新日本プロレスの東京ドーム大会「レッスルキングダム10」で行われた名勝負(IWGPインターコンチネンタル王者・中邑が、24分18秒、ボマイェからのエビ固めでAJを下して防衛)がWWEで再現される。

 歴史が繰り返されると言えば、WWEでは、こんな動きもあるのだ。12日(同13日)のRAWでのことだ。オープニングでカート・アングルGM(49)がリングに現れ、予定していたWWEユニバーサル王者、ブロック・レスナー(40)の登場がなくなったことを報告した。

 場内が騒然とする中、「レッスルマニア」での王座挑戦が決まっているロマン・レインズ(32)は「レスナーにはWWEやファンにリスペクトがない。ビンスのお気に入りだから仕事をさぼっているんだ。ビンスからもリスペクトがないのなら、やってられない」とバックステージでオーナーのビンス・マクマホン会長(72)に詰め寄った。レインズとの緊急会談を終えたビンスは「レスナーは優遇されているが、それは彼が勝ち取ったものだ。来週には登場するし、レッスルマニア34ではレスナー対レインズとの王座戦を行われる。しかし、レインズには責任を取ってもらい、一時的に謹慎処分とする」と説明した。

 しかしながら、レスナーは一向に姿を見せておらず、ユニバーサル王座戦の雲行きが怪しくなっているのは確かだ。SNSではレスナーが総合格闘技のUFCに復帰するのではないかといううわさが絶えない。そもそもレスナーはUFCで出場停止処分を受けたことによってWWEに復帰したのだった。すでにUFCの処分は昨年に解けており、おまけに4月にはWWEとレスナーの契約が切れるというタイミングなのだ。去就をちらつかせて、契約交渉を有利にしようとしているという見方もできる。

 もしも、レスナーがユニバーサル王者のまま離脱するということになれば、新日本でIWGP王者のまま防衛戦をドタキャンした2006年7月の前歴を繰り返すことになる。当時、レスナーは米国にベルトを持ち逃げした。防衛戦の予定だった7月17日の月寒グリーンドーム大会では、棚橋弘至(41)が新王者となり、「愛してまーす」の名言が飛び出すという副産物が生まれた。レスナーは、その後、日本の他団体IGFで防衛戦を行い、カート・アングルに奪われている因縁もあった。

 レスナーはWWEから好条件を勝ち取り、レッスルマニアに登場するのか。それともユニバーサル王座は、レインズらによる決定戦になるのか。日本のファンにとっての副産物があるとすれば、WWE王座と双璧であるユニバーサル王座が揺れることで、AJと中邑のWWE王座戦が文句なしのメインイベントになるということだろうか。夢の祭典はWWEネットワークの日本語実況版で生配信される。(酒井 隆之)

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