【長州力インタビュー〈2〉】秋山準との初対決に高揚…「形じゃない。違う物が出るのか」

スポーツ報知
長州(左)と秋山

 プロレスラー長州力(66)へのインタビュー2日目は、7月10日に後楽園ホールでプロデュース興行第2弾「POWER HALL2018~Battle of another dimension~」で初対決する全日本プロレスの秋山準(48)への思いを明かした。

 7・10後楽園。長州は、メインイベントで大日本プロレスの関本大介(37)、ヨシタツ(40)=フリー=と組み、秋山、大日本プロレスの橋本大地(26)、WRESTLE―1の黒潮“イケメン”二郎(25)と対戦する。

 カード発表の記者会見で長州は秋山との対戦を「久しぶりに高揚しています」と繰り返した。この高揚感は1995年10月9日、東京ドームでの「新日本プロレス対UWFインターナショナル全面対抗戦」での安生洋二戦以来と告白した。高まる感情。秋山の何が長州をかき立てたのだろうか。

 「戦うのは初めてのことだし。パワーホール2回目だし。あぁよく参加してくれたなと思って。できるできないは別にしてよく腰を上げてくれた」

 静かな口調で続けた。

 「自分の新日本でやってきた感情がどこまで出せるのか。でもやっぱりなかなか感情まで出してまでってあんまりなかったような気がするし。今回はやっぱりそういう部分では違う物が出るのかなっていう。形じゃないでしょうね」

 安生戦から23年。その間、引退、そして復帰。新日本退団。WJの旗揚げと崩壊。新日本への復帰…。様々な団体への参戦…。激動の中を突き進んできた革命戦士。荒波のリングに上がりながらも感情が表に出る試合は、なかったという。それが今回は23年前に味わった高揚感が甦った。眠っていた魂の導火線に火を付けた存在が秋山だった。

 「それなりに全日本を見たりしていると、あぁ頑張っているなって思いますよ。少しずつだろうけど、まぁ醍醐味のあるプロレスやっているし。懐かしいっていうか。選手みんな大きいから、自分たちの時代と何かやってきた時代とちょうどマッチしている。そういうのは、いいことだろうと思うし。だったら参加してもらえるのかなと」

 秋山は2014年から全日本の社長に就任。低迷していた団体にかつての厚みがある戦いを復活させ、ファンの支持を取り戻した。そんな秋山の姿が革命戦士をかき立てたのだ。会見では「秋山がどれぐらいの物を背負っているのか」とも発言。戦いを通じてそれを感じたい思いがあるのだろうか。

 「あいつの心中を察することはまったくない。代表としてやっているんだろうから、大変なことは大変なんだろうとは思いますよ。(トップに立つと)違うんじゃないですか。でも、ボクには分からない」

 どんな戦いになるのか。

 「秋山はまだ元気だし。全然、体を動かせば身になる年代だから。オレたちなんか体を動かしても身にならない」

 苦笑いしながら告白した。再び戦いにかける思いを聞くと、こう返した。

 「それは、こういうインタビューしたって無理がありますよ。みんな一人一人違いますよ。答えようがないですよ。リングで見たまんまを」

 66歳になって新たな対決に挑む。それは大きな勇気であり、チャレンジだろう。

 「それは、腰をあげてくれた方が勇気あるでしょ。ボク自身はチャレンジしているつもりもないですね。基本的に体を動かすことが好きだし。体を動かしていると自分が変わって、変わっていく、変わったような気がする。精神的なものかもしれないけど、今はそういうものすらも薄れて来ているっていうか。汗は流すんだけど、どこまで、こうできるのか分からないけど、こういうもののために今はやっているっていう考えですよ。打ち込んでやれば、ちょっと気持ちが入り、具合も変わってきているし。後はリングに上がった時に自分がどうなるか」

 迷いながら考えながら今もリングに上がり続ける。その胸中は、逡巡する言葉に表れていた。だからこそ、7・10後楽園でどんな長州が現れるのか?見たこともない革命戦士を我々は目の当たりにするかもしれない。(続く。取材・構成=福留 崇広)

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