【長州力インタビュー〈終〉】黒潮“イケメン”二郎と初遭遇…あの入場を受け入れるのか、そして武藤敬司への思い 

スポーツ報知
長州力(左)と黒潮“イケメン”二郎(右。中央は秋山準)

 プロレスラー長州力(66)へのインタビュー最終回は、7月10日に後楽園ホールでのプロデュース興行第2弾「POWER HALL2018~Battle of another dimension~」で初めて戦う黒潮“イケメン”二郎(25)、イケメンを指導する武藤敬司(55)への思いを明かした。

 7・10後楽園で長州は、大日本プロレスの関本大介(37)、ヨシタツ(40)=フリー=と組み、全日本プロレスの秋山準(48)、大日本プロレスの橋本大地(26)、WRESTLE―1の黒潮“イケメン”二郎(25)と対戦する。

 今回のメインイベントで長州は、秋山だけでなくイケメンとも初対決となる。重厚で敵はもちろん、観客をも寄せ付けない緊迫感あふれる長州のプロレスと底抜けの明るさと観客を巻き込むイケメンのスタイルは、対極に位置していると思われる。ある意味、禁断の対決だが革命戦士はイケメンにどんな印象を持っているのか。

「ボクはあんまり…その選手は一番接点が薄いですね」

 1月のプロデュース興行では、試合も姿も見たことのない伊橋剛太とのタッグを周囲の言葉を信じて許可した。今回、イケメンの試合はチェックしたのだろうか。

 「たまに道場で(試合の放送を)やっていると選手たち見てますからね。そこでチラッとこう…。印象? 印象っていうのはそこまでないですね」

 ルックスと同様にそのスタイルは長州の重さと対極の軽さを感じる。

 「そんなことないですよ。ボクは自分が重いとは思っていないですし。そんなことないですよ」

 イケメンは、福山雅治の「HELLO」に乗った入場が「世界一長い入場」と地上波のバラエティ番組でも紹介されるなど、明るく楽しく笑いに包まれながらリングに登場する。前回1月の試合で長州は、メインの6人タッグで一番、最初に入場した。今回もリングインの順番が同じで6人が一人ずつ入場するなら、長州が仁王立ちするリングでイケメンがあの入場シーンを展開することになる。

 「いいんじゃないですか。ボクに合わせることはないですよ。ボクはボクだから反対のことでものの5秒か10秒ぐらいで上がるって言うのはボクのスタイルみたいなもん。スタイルっていうか勝負ですよ」

 イケメンは今、武藤敬司が主宰する「WRESTLE―1」に所属。武藤は、これから期待するレスラーとして「あの物おじしない明るさは、これからの時代に合っている」とイケメンの名前を挙げた。この武藤の言葉をどう受け止めるのだろう。

 「それは当たっているんじゃないですか。だから、もう今はそれを変えろとか、それがいいとか悪いとかいう時代じゃないですよ。やっている本人も必死でやっているわけだから。分かんないけど敬司の言うそれは、当たっているんじゃないですか」

 90年代の新日本プロレス。橋本真也さん、蝶野正洋と並んで闘魂三銃士としてトップに君臨した武藤。化身のグレート・ムタとしても日米のリングを席巻した。

 「敬司は身体能力はいいヤツですよね。何でもできるっていうか。ケガでヒザさえ壊さなければ一番長くできるヤツだったかなと思う」

 90年当時、長州は当初、米国のWCWで誕生したムタを新日本では登場させたくなかったと言われてきた。

 「そんなことないですよ。日頃、冗談で言っていただけですよ。いろんなスタイルでやるから。だから、ボクから言わせれば、あの当時は、いい時代なんですよ。そういうものも含めて。すべてがかみ合って、けっこうみんなプロ意識を持っていましたよ」

 武藤とムタ。二つの顔を持った類いまれなレスラーを今、どう評価するのか。

 「今の時代で言えば、二面性三面性をやろうとしましたよね。言ってみれば、大谷翔平の二刀流、三刀流ですよね。そういうものは今の時代はOKなんだから、そういうものを切り開いたんじゃないですか」

 武藤は最近、長州から「お前がプロレスを壊した」と言われたと明かしている。

 「それも冗談ですよ。そんなことはないですよ。ボクは敬司に話しかける時はいつも冗談ですよ。泣かしてやろうと思って」

 発言は否定しなかったが、言葉の真意は「冗談」の二文字で包み隠した。7・10後楽園。秋山との初対決。故橋本真也さんの長男・大地との再会。そして、武藤の薫陶を受けるイケメンと禁断の初遭遇。革命戦士が築いた歴史と今のプロレスがどんな反応を起こすのか。

 「どうなるのか。それはボクも分からないですよ。リングに上がって、それからですよ」

 (終わり。取材・構成=福留 崇広)

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