【巨人】小林「全試合出たい」 打力向上になりふり構わず日本ハム・大田を徹底“取材”

スポーツ報知
自主トレをともにする日本ハムの大田(奥)が見守る中、フリー打撃で快音を響かせる小林(カメラ・中島 傑)

 【サイパン21日=ペン・後藤亮太、カメラ・中島傑】巨人・小林誠司捕手(28)が、連日5時間超の猛練習を行ってきたサイパンでの自主トレを打ち上げた。打力向上のために、同行していた日本ハム・大田に助言を求めるなど、課題克服に向けてレベルアップを図った。また正捕手争いを制し、巨人の捕手では2リーグ制後初の全試合スタメンマスクを今季の目標に掲げた。

 時折強く降るスコールもお構いなし。真っ黒に日焼けした小林が、バットを振り抜いた。フリー打撃では力強く、鋭い打球を打ち込んでいった。「打たないと、打たないと、と言われているので、打てるようにならないと。打てないならどんどん(練習を)やっていかないといけない」。この日で打ち上げたサイパン自主トレではプロ入り最速の5日からフリー打撃を解禁。打撃を含め、連日5時間以上の猛練習で体を追い込んだ。

 貪欲な姿勢で課題と向き合った。球界屈指の守備力を武器に昨季はチームの捕手で最多の138試合に出場したが、打撃では規定打席到達者の中で12球団ワーストの打率2割6厘にとどまった。打力が武器の宇佐見、ルーキー岸田、大城との正捕手争いを制するには打力向上が必要―。だからこそ、ともに自主トレを行う後輩の日本ハム・大田にも助言を求めた。

 大田は巨人から移籍1年目の昨季、15本塁打を放ち、長距離砲として覚醒した。年齢は小林の1歳下だが、体の使い方、タイミングの取り方、打球方向への意識付けなど、寝食をともにしながら細部に至るまで徹底的に“取材”した。「去年あれだけ打った(大田)泰示に、どういうふうな考えで打っているのかという話を聞けた。それはプラスになった」。なりふり構わずアクションを起こすことで、レベルアップにつなげた。

 打力向上を遂げることで、春季キャンプから始まる正捕手サバイバルを制する。「けがをしてもいいくらいの強い覚悟で、初日からガンガンいきます。その気持ちがないと、僕とかはすぐに終わってしまうと思うので」。キャンプインとともにライバルを圧倒し、その座を揺るぎないものとする。

 2リーグ制後、巨人の捕手で全試合スタメンマスクをかぶった男はいない。その話を伝え聞くと「全試合出たいと思っています」と宣言。「何としても勝ちたい。阿部さんもよくおっしゃってますけど、捕手は優勝しないと評価されないポジション。『小林、成長したな』と思ってもらえるように、そういう姿を見せたい」と続けた。飽くなき向上心が、真の正捕手へと近づけている。(後藤 亮太)

 ◆ブレイクした大田

 大田は16年11月に吉川光らとのトレードで巨人から日本ハムへ移籍。左腹斜筋筋挫傷で開幕2軍スタートも、4月下旬に1軍昇格すると、同29日の楽天戦(札幌D)で移籍後1号をマーク。その後もプロ9年目で初のサヨナラ打、交流戦では古巣・巨人から2戦連発をマークするなど、レギュラーとして戦い抜いた。自身初の規定打席にも到達し、巨人では8年間で通算9本塁打だったが、17年は118試合に出場し、打率2割5分8厘、15本塁打、46打点だった。

 ◆今季の巨人の正捕手事情 本命は小林。昨季限りで相川が引退、実松が退団し、28歳ながらチームの捕手最年長となった。昨季の盗塁阻止率は2年連続12球団1位。初のゴールデン・グラブ賞も獲得した。WBC日本代表に球宴出場も経験するなど実績は十分。対抗は2年目の宇佐見。昨季はプロ1号となるサヨナラ弾など、持ち味の勝負強さと長打力で強烈なインパクトを残した。ドラ2岸田は走れる捕手として総合力の高さが魅力。ドラ3大城も広角に打ち分ける打撃が武器と、即戦力の期待がかかる。

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