【巨人】小林、藤浪キラー 先制V打

スポーツ報知
2回1死一、二塁、小林(右)が藤浪から先制の右前適時打を放つ(捕手・梅野=カメラ・関口 俊明)

◆阪神2―8巨人(20日・甲子園)

 静まり返った甲子園のど真ん中で、小林は右腕で小さくガッツポーズした。「つなぐ気持ちで打席に入りました。コンパクトにスイングできましたし、いいところを抜けてくれてよかったです」。 0―0の2回1死一、二塁、藤浪の外角154キロを押し返した。右翼・糸井が打球を後逸する間に、二塁走者の岡本が生還した。

 14日の広島戦(東京D)以来、4試合ぶりとなる安打は、先制V打となった。続く4回先頭では外のカットボールを引っ張って左前打。藤浪と今季初対戦だった3月31日の東京Dでは左翼線二塁打を放ち、2四球を選んでいる。「たまたまです」と謙遜するが、2戦3打数3安打2四球で対戦打率は10割だ。“藤浪キラー”襲名の日は近いかもしれない。

 打率トップの座も見えてきた。規定打席にはわずかに3打席届いていないが、今季5度目のマルチ安打で打率は3割8分6厘。現時点では中日・アルモンテ(4割3厘)には及ばないものの、このまま打率4割前後をキープしていけば、いきなりリーディングヒッターに躍り出る可能性がある。仮にシーズン通して打ち続けて首位打者獲得となれば、捕手では12年の阿部(打率3割4分)以来だ。

 昨季は打率2割6厘と苦しみ、規定打席に達した打者の中では12球団最下位だった。キャンプ中には松井秀喜臨時コーチから、オープン戦中には高橋監督から、軸足に体重を乗せて打つコツを教わった。だが、生真面目さがアダとなったのか、軸足を意識するあまり、右半身に体重が残りすぎて凡打を重ねた。救ってくれたのは二岡打撃コーチだ。開幕直前、「残しすぎないで、もっと前(投手側)に打ちにいけばいい」と助言されると、一気に視界が開けた。

 小林の打力アップは、単に打線に厚みをもたらすだけではない。長年正捕手を務めながら通算2000安打を達成した阿部は「いい打者は、相手バッテリーに厳しい攻め方をされる。どうやって抑えようとしてくるか。それが自分の配球にも生きてくる」と言う。打てば打つほど、捕手としての能力にも磨きがかかるということだ。(尾形 圭亮)

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