【巨人】坂本勇、セ界独り負け阻止の逆転弾 球団歴代10位の通算172号

スポーツ報知
7回2死一、二塁、左中間に逆転となる7号3ランを放った坂本勇は、ベンチに向かって自慢げな表情を見せた(カメラ・矢口 亨)

◆日本生命セ・パ交流戦 巨人8―5西武(9日・東京ドーム)

 巨人はキャプテン・坂本勇の一撃で西武に逆転勝ち。連敗を2で止めた。1点ビハインドの7回2死一、二塁、多和田の直球を左翼席中段に運ぶ7号3ラン。8回には阿部が右翼席中段に4号3ランを放ち、ダメを押した。吉川尚も5回にけん制死を誘うなど好守連発で中盤の接戦をもり立てた。この日はセ・リーグ6球団が交流戦で4年ぶり3度目となる全勝をマーク。巨人は10日、内海が先発し、8カードぶりの勝ち越しを狙う。

 打った瞬間、坂本勇はバットを両手に持ちながら跳びはね、一塁ベンチに向けて笑みを浮かべた。左中間席中段に打球が吸い込まれると、スタンドのボルテージは最高潮に達した。「打った瞬間、ホームランと分かったのでああいう表現になった。(直前で田中)俊太が四球でつないでくれたので先輩として打ちたいと思った」。敗戦ムードが漂い始めた球場の雰囲気を一振りで吹き飛ばした。

 1点ビハインドの7回2死一、二塁。1ボールから多和田の内角直球を完璧に仕留め、逆転7号3ランを放った。「ライナー性の、いい形で(打った)いい打球だった」。10戦ぶりのアーチはスコアボードに打球速度「156キロ」をともす強烈な一撃。通算172本塁打とし、巨人では中畑清、クロマティを抜いて歴代単独10位となった。

 開幕から57試合目で初の本拠地・東京Dのお立ち台。「チームはなかなか難しい状況が続いているけど、全員がつないでいく気持ちを持ってやっている」。前日8日の試合でチームは6月以降では12年ぶりに単独最下位に転落。この日はナイターを戦った巨人以外、デーゲームでセ・リーグの5チームが全勝。独り負けの危機も主将が救った。

 4年ぶりのリーグVを目指す今季。キャプテンは積極的に若手に助言する。5月下旬。今季から二遊間でコンビを組む吉川尚がノックを受けていると自然と歩みより、併殺のタイミングなどについて言葉を交わし、何度も連係プレーの確認を行った。「今年、来年、再来年とちょっとずついいコンビになれるように。向こうからは言いづらいだろうし」。さらに尚輝が5日の楽天戦(東京D)で開幕から53試合目で初めてスタメンから外れると「試合に出ていなくても、ちゃんと見ておくことも勉強になるぞ」と声かけ。全てはチームのためだった。

 野球がうまくなるためには、自分から行動を起こす。この日の試合前。早出で体を動かしている時、西武の三塁ベンチ前でテレビのインタビューを受けている山川に走って近づいた。「自分では湧いてこないイメージを持っている人はたくさんいる」と話している勇人。現在パ・リーグ本塁打王の打撃理論に興味があったからだ。実際は山川が他の選手を解説していたため聞くことはできなかったが、球界屈指の選手に成長しても誰よりもうまくなりたいという貪欲な姿勢は不変のままだ。

 連敗は2でストップ。「交流戦はまだ(カード)勝ち越していないので明日は何とか勝ち越したい」と背番号6。チームに勢いをもたらす1勝を次に生かしていく。(後藤 亮太)

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