【巨人】大城、代打で人生初サヨナラ打 阿部の犠打に発奮「何としても1点取りたいと思った」

スポーツ報知
9回、代打でサヨナラ打を放った大城(手前)は、後ろから内海に抱きつかれ笑顔を見せる(カメラ・矢口 亨)

◆日本生命セ・パ交流戦 巨人3x―2西武(10日・東京ドーム)

 ルーキー大城が大仕事。巨人に今季初のサヨナラ勝ちをもたらした。2―2の9回、阿部に送りバントまでさせてつかんだ1死満塁のチャンスに代打で登場。西武の守護神・増田から、火の出るような当たりの右越え適時打を決めた。坂本勇、亀井がアーチをかけ、投げては内海が7回2失点の粘投。パ首位の西武相手に2勝1敗とし、8カードぶりの勝ち越しだ。交流戦はあと6試合。さあ、ここから乗っていけ、巨人!

 快音を響かせた打球が、前進守備の右翼手の頭を越えた。東京Dに大歓声が鳴り響いた。一塁ベースを蹴った大城は、追いかけてきたナインから歓喜のシャワーを全身に受け、はじけんばかりの笑顔を見せた。ナインと抱き合い、最後は由伸監督から頭をなでられ、また笑顔。お立ち台に上がると「最高です!」と声を張り上げた。

 指揮官の期待に応えた。9回1死満塁、小林の代打で送り出された。NTT西日本の先輩でもある西武守護神・増田から人生初のサヨナラ打。東海大の大先輩、原辰徳氏がテレビブースで見守る中、2ボール1ストライクからの内角低め直球を捉え「使ってもらったので、何とか監督に勝利を届けたいと思っていました」。巨人新人のサヨナラ打は08年加治前以来。チームのサヨナラ勝ちは今季初めてだ。由伸監督も「大城らしいいい当たりだったね」とたたえた。

 ベテランの姿に奮い立った。9回。先頭の岡本が内野安打で出ると、阿部が今季初の送りバントを決めた。通算392本塁打の大打者のプレーに「普段はないこと」と驚きの表情を見せ「阿部さんがつないで、(亀井、陽ら)先輩もつないでくれた。何としても1点取りたいと思った」。最高の形で試合を締めくくった。

 ここまで2本塁打のパンチ力も期待されるドラフト3位捕手は、開幕から堂々としたプレーを見せている。大舞台で物おじしない性格は、昔から変わらない。小学6年時の卒業文集。そこには力強い文字で、こう書き記してある。

 「僕の将来の夢は、プロ野球選手。そしてメジャーリーガーです。理由は、ああいう大きな夢の舞台に立って、戦えるからです」

 母・淳子さん(54)は「闘志を前面に出したりする子ではなかったですし、プロになりたいと言ったこともなかったのでビックリしました」と振り返る。本人も「覚えていないです」と苦笑いを浮かべたが、幼少期から内に秘める強い意志があった。

 だからこそ、リベンジも果たせた。2日のオリックス戦(京セラD)延長11回2死一、二塁、一打勝ち越しの場面で、代打で起用され見逃し三振。チームは12回にサヨナラ負けした。その日以来の出場。強い気持ちで立ち向かい、歓喜の瞬間をもたらした。

 チームは5月11~13日の中日戦(東京D)以来8カードぶりの勝ち越し。5月18日以来の連勝で、最下位を脱出した。「この勢いを忘れることなく、出してもらった時にしっかり自分の役割を果たせるように頑張ります」と背番号46。若い力が、まだまだチームを押し上げていく。(後藤 亮太)

巨人

×