【巨人】“坂本ロス”で1点届かず…ヤクルトに3連勝ならず5割逃す

スポーツ報知
7回1死一塁、坂口のイレギュラーした打球を止められず、内野安打とした遊撃手・吉川尚(左、二塁手は田中俊、一塁走者は藤井=カメラ・矢口 亨)

◆巨人2―3ヤクルト(24日・東京ドーム)

 “勇人ロス”で惜敗―。巨人はヤクルトとの1点差の接戦を落とし、同一カード3連勝と約1か月ぶりとなる勝率5割復帰を逃した。坂本勇がコンディション不良のため今季初の欠場。遊撃には吉川尚が入ってカバーしたが、代わって1番に座った陽が9回の一打同点の好機で凡打に終わるなど5打数無安打。今村が7回途中3失点と粘投も1点が届かず、主将の存在感があらためて浮き彫りとなるゲームだった。

 痛烈な打球はしかし、野手の正面を突いた。9回、1点差に迫って2死一塁。長打で同点、一発なら逆転サヨナラ、という場面で陽岱鋼が三ゴロに倒れて万事休す。代打・阿部と宇佐見のタイムリーで追いすがったが、一歩及ばなかった。由伸監督は「もう少し序盤から何とかというところはあった」と先手を奪えなかったことが響いたと悔いた。

 試合前から、暗雲は垂れこめていた。今季67試合目で初めて、坂本勇がスタメンを外れ、そのまま欠場した。コンディション不良とみられるが、言うまでもなく巨人の顔である。特にリーグ再開後のこの2試合では初回の打席で出塁。先制のホームを踏み、理想的な試合運びを体現してきた。相手にとって最も嫌な打者がラインアップから名を消せば、それだけで精神的に優位に立たれてしまう。

 こういう時の試合は得てして、背番号6の存在感を際立たせるものになってしまうのも勝負の世界の「あるある」だ。代わって1番に入った陽は、5打数無安打。勇人と並ぶ得点源の4番の岡本はこの日、3度の得点圏を含む4打席全て走者を置いた場面で打席に立ち、いずれも凡退した。徹底マークを一身に受けた形に「3回チャンスで回ってきたけど、打てなかった。次は打てるように頑張ります」と責任を負った。

 守備でも、遊撃に入った吉川尚が7回1死一塁から坂口の打球を止めきれず内野安打とし、その後の3失点に絡んだ。ややイレギュラーした難しい当たりだったが、由伸監督は「ただ、届く範囲なので、しょうがないというところではない」と指摘。プロでは不慣れな遊撃とはいえ、守備力ではチーム1、2を誇る吉川尚に期待値は高くなる。

 さらには普段なら遊撃の位置から絶妙なタイミングで投手に声をかけて間を取り、危機を“芽”の段階でつみ取ることも少なくない。経験値のなせる業だが、岡本、田中俊、吉川尚の若手に外国人のマギーというこの日の内野布陣では難しかったか。個人に責任を負わせるのは話は違うが、勇人の代役など球界探してもいない。全員が普段以上のプレーでカバーしなければ穴は埋められない。

 1点差試合はこれで5勝14敗。ヤクルトに一気の3タテで5割復帰をもくろんだが、借金は再び2。今季の東京Dでの同カード連勝は5で止まり、首位・広島とは5・5差となった。それでも交流戦最高勝率チームに勝ち越し、26日からそのカープと激突する。勇人の週明けからの見通しについて、由伸監督は「まだ分からないね、それはね」と心配そうな面持ちを浮かべた。主将の離脱がこの試合だけで済むことを、今は願うしかない。(西村 茂展)

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