【巨人】由伸監督、逆襲タクトだ!初球エンドランで逆転演出 5連勝で勝率5割

スポーツ報知
5回1死一塁、左前打とナバーロのファンブルで二塁へ滑り込んだ吉川尚。顔に泥をつけるほど気迫のこもったヘッドスライディングをみせた(カメラ・矢口 亨)

◆阪神3―4巨人(16日・甲子園)

 後半戦がスタートし、巨人が阪神に逆転勝ち。5連勝で5月26日以来の勝率5割に復帰した。1点ビハインドの5回、坂本勇の四球後、吉川尚の初球でヒットエンドランを敢行。1死二、三塁とチャンスを広げ、マギーが逆転2点打を放った。由伸監督が積極的な攻撃を仕掛け、難敵メッセンジャーを攻略した。8回、亀井の2ランも値千金。6回1失点と粘投した内海が3勝目を挙げた。

 逆転優勝への希望が、わずかに差してきた。前半戦は何度も落としてきた接戦で、動き、強気に攻めて勝ちとった。決勝打のマギーや貴重な追加点をたたき出した亀井。6回1失点で3勝目を挙げた内海とヒーローは数知れない。だが、この日ばかりは、由伸監督の積極タクトが光った。ホッとした表情で会見場に現れると「球宴前のいい流れがそのまま出てくれたね」と、5連勝に確かな手応えを感じ取っていた。

 動かぬなら、動かせばいい。一気に流れを引き寄せたのは1点を追う5回だ。1死で坂本勇が四球後、吉川尚の初球にエンドランを仕掛けた。打球は三遊間を真っ二つ。左翼手ナバーロがファンブルする間に、尚輝は二塁へと快足を飛ばした。1死二、三塁で、マギーは1ボールから左前へ逆転タイムリー。勇人の四球後、わずか3球の電光石火だ。「相手はいい投手(メッセンジャー)だし連打連打とはいかない。うまく動いてくれたね。後半戦ではさらに1点が大事になってくるから」としてやったりだ。

 常々、采配が決まると謙遜し「勘だよ」と笑い飛ばす指揮官だが、確固たる自信も備わっている。試合中、よくテレビ画面にも映るのが、メモ帳にペンを動かす由伸監督の姿だ。実際、そのケースで感じたことや後悔、反省点をなぐり書きしているという。聞くと冗談交じりに「みんなの悪口だよ」と言って詳細を明かさないが、これを試合後の監督室で自身の手帳に改めて書き直している。復習して頭にたたき込み、後日読み返して同じ失敗を繰り返さないようにする。この地道な努力が後半戦開幕の大事な一戦で白星をつかんだ。

 「次の1点が大事になる」―。接戦では常にこう考える指揮官。1点リードの8回には、あえて5番に置く亀井が左翼ポール際へ2ランをかっ飛ばした。昨年は代打の切り札だった男をポイントゲッターとし、ベテランの経験を頼りにしている。性格を知っているから練習中、「今日は左投手が先発だからって『俺はスタメンじゃない』とか気を抜いてないだろうな」などといじり、尻をたたくことも忘れない。日頃の細かな積み重ねが後半戦に入り、実を結ぼうとしている。

 5月26日以来の借金返済に成功し、ようやく逆転Vへのスタートラインに立った。指揮官は「我々は追いかけるチームなので一戦一戦全力でやっていくだけ」と足元を見つめ直した。首位・広島とは6ゲーム差のままだが、戦力はひけを取らない。本領発揮の夏。攻勢をかける。(水井 基博)

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