【巨人】西村引退…右肩痛で構想外、13年セーブ王の鉄腕「巨人愛」貫き決断

スポーツ報知
12年リーグ優勝を決め、マウンドでガッツポーズした西村

 巨人・西村健太朗投手(33)が今季限りで現役を引退することが2日、分かった。近日中に正式発表される。2012、13年は守護神としてリーグ連覇に貢献。球団新記録のシーズン42セーブもマークした。先発、リリーフとして長年チームを支えたが、今季は7月から右肩痛に苦しみ、プロ15年目で初の1軍登板なし。来季の構想から外れ、自らを育んだ愛する巨人でプロ野球人生を終える決断を下した。

 巨人一筋15年。鉄腕がプロ野球人生にピリオドを打つ。西村はスポーツ報知の取材に対し、「今年は肩をけがしてしまい、覚悟はしていました。僕は巨人に育ててもらいましたし、お世話になった球団には本当に感謝しています」と話した。

 今季は2月の1軍キャンプ中に、下半身のコンディション不良で離脱した。2軍公式戦22登板で防御率2・42。昇格を目指していた7月、今度は右肩に激痛が走った。それ以降はリハビリ組。現在は10メートルのキャッチボールができるまで回復したが、実戦の見通しは立たず、1軍登板はなしだった。

 今月に入り、球団から来季の契約を結ばない旨を通達された。普段から「他球団で野球をやるという選択肢は僕にはない」と話していた男は、巨人愛を貫いた。

 広陵高3年の春、03年センバツ決勝で横浜・成瀬(ヤクルト)と投げ合い優勝。同年ドラフト2巡目で巨人に入団した。先発も救援もできる万能型で重宝され、07年には憧れであり、尊敬する上原、豊田と勝ちパターンのリリーフに定着して57登板とフル稼働。09年には右肘を手術し、翌10年は先発に再挑戦した。

 同年4月7日。寮から東京Dまで一緒に通勤し、兄のように慕っていた木村拓也コーチが亡くなった。その日の阪神戦(甲子園)に先発。練習前、選手全員で二塁の守備位置で円になり、原監督が「タクヤー!」と絶叫した試合で、自身1344日ぶりの先発勝利。天国に白星をささげた。

 11年から再びリリーフとなり、12年は守護神として69登板、防御率1・14で32セーブ。13年は71登板で防御率1・13、球団記録の42セーブを挙げ、優勝決定の試合では原監督の演出で9回に山口、マシソン、西村と一人1アウトずつの継投で胴上げ投手に。最高の思い出だ。

 蓄積疲労もあり、15年9月に2度目の右肘手術。その時も「シーズン中に手術をさせてくれた球団に感謝です」と、つらいリハビリを乗り越えた。翌16年から2年間で計72登板。ブルペンに欠かせない存在だった。

 近日中に引退を発表する見込み。右打者の内角をえぐる代名詞のシュートを武器に、プロ通算470登板。原前監督を「鉄人」とうならせた右腕が、愛する巨人のユニホームを脱ぐ。

 ◆西村 健太朗(にしむら・けんたろう)1985年5月10日、広島県生まれ。33歳。広陵ではエースとして3年センバツで優勝するなど甲子園に4度出場。2003年ドラフト2巡目で巨人入団。12年から抑えに転向し、13年には球団記録の42セーブをマークし、最多セーブのタイトルを獲得。通算成績は470試合に登板、38勝34敗81セーブ、防御率3・12。184センチ、94キロ。右投右打。年俸8600万円。

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