【巨人】上原浩治、大減俸でも45歳現役めざす「活躍すれば上がるかも」

スポーツ報知
トークショーで野球少年とふれあう上原(カメラ・石田 順平)

 巨人は14日、上原浩治投手(43)と再契約したことを発表した。単年契約で、背番号は入団1年目の99年からメジャー移籍後の17年まで背負った愛着ある「19」に決定。44歳でのプレーが正式に決定したレジェンド右腕は「1年間1軍」を目標に掲げ、原監督への恩返しを誓った。年俸は5000万円。今季年俸2億円から1億5000万円の減額は球団史上6番目(金額はいずれも推定)。大幅な減俸となったが「1年活躍すれば上がるかもしれないですし」と再来年の現役続行への糧とした。

 不本意な“臆測”をあえて口にした。それが上原の覚悟を物語った。巨人との再契約を報告した取材の輪。「元からできていた話ではないか、といろいろ言われましたけど、そういった話は一切なかった。本当に契約してもらえたのは、すごいうれしいです」。球団としては前人未到となる44歳で戦うシーズンが正式に決まり、心から安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

 恩返しの思いは強い。今季終了後の10月23日、左膝のクリーニング手術を行った。慎重に回復具合を見極めたい巨人サイドと、契約を求めて広く門戸を開きたかった上原サイド。双方合意の上で同29日に自由契約となった。当時の心境を「ちゃんと監督と話し合っての決断です」とブログに記した。その後「12球団OK」の姿勢で待ったが、巨人だけが手を挙げてくれた。原監督の懐の広さに感謝しつつ、「1年目からお世話になった人ですし、どうにかして力になれたらいい」と決意を新たにした。

 条件も二の次だった。年俸は今季から75%ダウンとなる5000万円と公表した。今季は36試合で0勝5敗、防御率3・63。シーズン途中から抱えた左膝痛で2軍落ちも経験し、不本意な1年だった。「もちろん悔しいけど、仕方ない部分でもある。ここから来年1年活躍すれば上がるかもしれないですし」。最優先は選手として必要とされるか。“大減俸”であっても再来年、45歳での現役続行を目指すモチベーションに変えた。

 患部の回復具合は順調だ。すでに速めのジョギングを開始。キャッチボールも40メートルまで距離を延ばしている。「まだダッシュはしてないけど、今の段階では痛みがない。順調ですね」。それでも初めての故障箇所であるため、過信はせず慎重に。キャンプインではなく、来年3月29日の広島との開幕戦(マツダ)に照準を合わせ、100%に持っていくつもりだ。

 今季、10年ぶりに日本球界復帰を果たし、改めて気付いたのは食事面だ。米国時代に比べ、いつでも手が届く慣れ親しんだ味に思わず箸が進んだ。「体重管理も、もうちょっと気をつけないとあかん。“甘い誘い”じゃないけど、そこをどう断ち切るか」。すでに膝の手術後から、完全復活までの禁酒を自分に課している。

 背番号も99年からメジャー移籍後も背負い続けた「19」復帰が決まった。「智之が19の株をすごく上げましたから。それを汚さないように」と謙遜しつつも「(番号に思い入れは)ありますけど、振り返らずに先に進んでいきたい」ときっぱり。代名詞との1年ぶりの“再会”を、新たな出発に位置づけた。(西村 茂展)

 ◆上原に聞く

 ―正式に決まった今の心境は。

 「去年が去年で、全然決まらずに3月まで(契約が)延びましたけども、今回は年内に決まって、すごいホッとしてます」

 ―膝を手術して、プラスになる部分は大きい。

 「やっぱり痛みを感じながらプレーしていると、どうしてもパフォーマンスは落ちるので。痛みを感じることなく投げられるんじゃないかな、という思いはあります」

 ―背番号に関し、原監督とはどういう話を。

 「特にやりとりはない。その前にもう、いろいろと番号がシャッフルされていたので、19をとっておいてくれたのはすごい感謝しています」

 ―前回、原監督の時に優勝を経験。また新たに就任した指揮官を胴上げしたい。

 「原さんだからというわけではなく、常に僕らは優勝したいという思いでやってます。今年に限って言えば、(高橋)由伸(前監督)に申し訳なかったなという思いはあります」

 ◆来季の巨人投手陣 先発ローテーションは菅野を筆頭に、山口、岩隈、メルセデス、田口、今村、内海、野上、大竹、ヤングマン、高田、大江にドラフト1位の高橋らが争う。救援陣では、沢村、吉川光、宮国、鍬原、桜井、マシソン、獲得を目指している外国人クローザーらの中から“勝利の方程式”を構築する。

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