遼選手会長の覚悟!名前だけで終わらない「自分がやるメリットを日々自問自答」

スポーツ報知
ピンフラッグを持つ石川選手会長

 男子プロゴルフの国内開幕戦、東建ホームメイトカップ(12~15日、三重・東建多度CC名古屋)で選手会長として国内ツアー初戦を迎える石川遼(26)=カシオ=が10日、会場で行われた今年初めての選手会総会後に「3つの改革案」をぶち上げた。先駆けて行われたスポーツ報知の単独インタビューでは、最年少会長としての覚悟、ゴルフ界改革への熱い思いをたっぷりと語った。(聞き手・榎本友一、岩原正幸)

 ―1月5日、都内で開かれた日本ゴルフツアー選手会理事会で26歳110日で史上最年少選手会長に就任した。率直な気持ちを。

 「(最初は)まさかでした。覚悟してやらせていただきますと返事をした。自分が選ばれた意味を最大限生かしていかなければならない。どうしても名前だけのイメージが先行してしまう。ニュースにはなるけど、それだけで終わるのは一番悔しい。ゴルフ界にとって、自分がやるメリットを日々自問自答している」

 ―オフに、日本サッカー協会最高顧問で日本バスケットボール協会エグゼクティブアドバイザーの川淵三郎氏(81)と会い、アドバイスを受けた。

 「188人のツアーメンバーをどうまとめるか不安があり、最初にご相談した。最高な時間でした。『ゴルフ界のためになると思ったことはJGTO(日本ゴルフツアー機構)の青木功会長と相談して、しっかり前を向いて進めるべきだ』と言っていただいた。ゴルフ界のためにという気持ちの強さは、自信を持った方がいいと言われて吹っ切れた」

 ―就任に葛藤は?

 「自分のためであれば引き受けなかった。最初はきついと思い、1日考えさせて下さいと(宮里優作前会長に)返事をした。でも、自分がやるメリットもあるのでは、と。すごくワクワクしている。ここを改善したらもっと(ツアーの)魅力が増すんじゃないかと思う点がいくつもある」

 ―13年から5年間、米ツアーに本格参戦し、日本にも取り入れたい部分は?

 「各大会でピンフラッグを販売し、選手がサインをする文化が日本に根付けば面白い。僕も(世界選抜と米国代表の対抗戦)プレジデンツカップのフラッグを大事に飾ってある。絵になるし、すごく好きです」

 ―プロ11年目。ツアーへの思いは?

 「ツアーへの恩返しは試合数が増えること。主催者への恩返しとしては(大会前の開催が通例の)プロアマ戦の土曜日開催を提案している。感謝の気持ちを大事に、主催者の方がやりたいと思うツアーにしたい。そしてファンが喜んでくれることが必ず選手に返ってくる。ファンが増えれば、ゴルフに目を向ける企業が出てくるかもしれない」

 ―男子下部ツアーは今季、インターネットテレビ局が冠スポンサーとなり「AbemaTVツアー」に名称を変更。全試合ネット中継される。

 「(パソコンや携帯の)画面の奥で何万人が見ている。釣りや将棋のファンがゴルフを見ることもある。注目してほしい若手がレギュラーツアーに上がる頃、何十人というファンが付いていたら最高だと思う」

 ―現在、世界ランクは日本勢10番手の204位。20年東京五輪の出場権が得られる上位2人に入るため、見据える将来像は?

 「09年の29位が最高位。今までの最高ランクを更新して、見たことのない景色を見たい。その時、上に日本人が2人以上いたら五輪に出られないし、仕方ない(※)。(今季は)バーディー数で誰にも負けたくない」

 ―会長と選手の両立は?

 「『練習時間が減る』イコール『量が減る』ではない。選手会長の仕事を24時間やる訳ではない。短い時間でもいい練習はできる。集中していくことが求められる」

 ◆自分の成績より、選手会の仕事の方がプレッシャー

 約100人の選手が出席した選手会総会の冒頭、石川選手会長は「新たに取り組みたいことがあるので、皆さんご協力お願いします」とあいさつした。3つの改革案は〈1〉ピンフラッグの販売〈2〉ギャラリープラザ(会場内の飲食店が並ぶ場所)での選手インタビュー〈3〉土曜プロアマの開催だ。

 中でも力を入れるのは、会長自らが提案したピンフラッグの販売で、開幕戦から始めることが決まった。価格は2000円で、当面は各大会1000枚作製する。収益の一部をチャリティーに充てるという。「できる限りサインをしていきましょう」と選手にファンサービスを促した。

 試合で活躍した選手がファンの前でプレーを振り返る“お立ち台”は今週は未定も、次週は開催。予選落ちした選手が対象となる土曜プロアマも、詳細を詰めている。石川会長は「選手の意識向上が大事。自分の成績より、選手会の仕事の方がプレッシャーです」と表情を引き締めた。

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