重永亜斗夢、難病にも震災にも負けない初V

2018年4月16日6時0分  スポーツ報知
  • ツアー初優勝を果たした重永(右)は、優勝カップを手に(左奥から)和歌子夫人、次女の夢芽ちゃん、長女の亜子ちゃんと満面の笑み(カメラ・渡辺 了文)

 ◆男子プロゴルフツアー 東建ホームメイトカップ最終日(15日、三重・東建多度CC名古屋)

 プロ転向11年目の重永亜斗夢(あとむ、29)=ホームテック=が強風の中、73とスコアを落としたものの、1打差で逃げ切り、悲願のツアー初優勝を果たした。5年前に診断された国の難病指定の「潰瘍性大腸炎」を患う中、今年から新たにスポンサー契約した製薬会社のサポートを受けて、体調面が好転した。現在も一日3回、薬の服用を欠かせない苦労人が、病と闘う患者に勇気を届けた。

 重永がグリーン上でようやく解き放たれたような笑みを見せた。最終18番、20センチのウィニングパットは、「いろんなことを考えながら打った。涙が出ると思ったけど、入れたら全部飛んでいった」。まな娘の亜子ちゃん(5)と夢芽(ゆめ)ちゃん(2)を抱きしめ、「これがやりたかったんです」と、プロ11年目での初Vの感慨に浸った。

 1番のバーディーで2位・石川を5打離したが、6番で池に入れてダブルボギー、9番のボギーで1打差に迫られた。73で何とか石川を1打差振り切り、「遼、(片山)晋呉さんに勝てたのは一生の自慢」と、自身4度目の最終日最終組を制して表情を緩めた。

 手塚治虫さんの人気漫画「鉄腕アトム」に由来する力強い名前とは裏腹に、子供の頃から胃腸が弱かった。2013年8月、血便が出て病院に行くと、潰瘍性大腸炎と診断された。試合中トイレに駆け込むこともあった。今年から整腸剤メーカー・ミヤリサン製薬(本社は東京・北区)とスポンサー契約を結び、状況が好転した。その縁で昨年末に、この難病を患う安倍晋三首相が治療を受けていた都内の病院を紹介された。

 同社から提供を受ける飲み薬は朝昼晩と欠かせないが、「最近はおなかは良くなりましたね」と重永。1月にはインフルエンザと副鼻腔(くう)炎にもかかり、53キロまで落ちた体重がようやく3月に60キロ台に戻るという逆境もはねのけた。この日朝は、重圧から下痢をしたが、「出し切って良くなった」と、コースで影響はなかった。

 食事面でも懸命に支えた妻・和歌子さん(28)は熊本市から朝一番で駆けつけ、会場で涙を流した。「主人は病気でもできるんだ、と見せたがってました」。好物で胃腸にやさしい「卵とじうどん」での優勝祝いが待っている。(岩原 正幸)

 ◆潰瘍性大腸炎 大腸の粘膜に炎症が起こり、ただれたり潰瘍ができる病気。炎症は通常、肛門に近い直腸から始まり、その後、その奥の結腸に向かって炎症が広がっていく。症状は粘血便、下痢、腹痛など。原因は明らかになっておらず、再発しやすいため、国の難病に指定されている。全国に16万人以上の患者がいるとされる。

 ◆重永 亜斗夢(しげなが・あとむ)1988年9月14日、熊本市生まれ。29歳。9歳からゴルフを始める。福岡・沖学園高を経て日大に進学も1年で中退し、2008年にプロ転向。15年RIZAP・KBCオーガスタの3位がこれまで最高成績だった。昨季の賞金ランクは49位で、4年連続で賞金シードを獲得中。今回の優勝で11月29日からの最終戦のメジャー、日本シリーズJTカップ初出場権も獲得。172センチ、60キロ。家族は妻と2女。

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