時をかけるウサギ…“ラビットアイランド”大久野島に行ってみた

2018年5月10日13時0分  スポーツ報知
  • 大久野島のウサギたち。優しくなでるのはOKだが、抱き上げたり、追いかけたりするのはNG
  • 大久野島のウサギの耳を模したオブジェで風を聞く
  • 竹原市「ほり川」の醤油蔵。映画「時をかける少女」では堀川吾朗(尾美としのり)の家で使用
  • 竹原市の名物はタケノコと瀬戸内のタコ。タケノコの粒入りアイスも甘くておしいい
  • 竹原市「町並み保存地区」の竹鶴酒造と「たけはらかぐや姫」
  • 大久野島の位置

 瀬戸内海に浮かぶ島の中に700羽の野生のウサギが生息する“ラビットアイランド”がある。それが大久野島(おおくのしま)だ。広島・竹原市に属するこの島は、かつては地図に載っていない幻の島だった。地図に載っていないことをいいことに、まさかウサギが占領? “ウサギの惑星”を夢想しながら船で渡ってみた。(酒井 隆之)

 おだやかで暖かい瀬戸内だけに、多くのクルーズが出ている。せとうち島たびクルーズに乗って、生口島(いくちじま)の瀬戸田(尾道市)から大久野島に向かった。途中で「ひょっこりひょうたん島」のモデルとされる瓢箪島(無人島)が見えた。ひょうたん形の上(北)が広島で下(南)が愛媛といい、くびれから2つに割ったラインが県境なのだという。四国と本州の境目が島にあるなんて面白い…などと、“瀬戸内700余島”の表情を書いていけばキリがない。

 ウサギの島、大久野島は、周囲4・3キロの中にウサギが約700羽いるという。人口は唯一の宿泊施設「休暇村」の従業員だけというから、ウサギの数が圧倒的だ。だからと言って、決して支配しているという雰囲気ではない。暑い中、日陰に隠れているか、自分で掘った穴(巣?)にたたずんでいる。アナウサギという種(しゅ)に属するが、鳴くわけもなく、観光客を消極的に相手している感じ。白、グレー、茶色…いろんなのがいる。

 追いかけ回したり、抱っこしないのがルールだ。レンタサイクルを借りて約3キロの外周道路を巡り、いろんなウサギに出会うのがいい。途中で毒ガス資料館があった。この島で毒ガスを製造していたという昭和初期の戦史が残されていた。地図に載っていない時期があったのは、そういうことだった。「ふしぎの国のアリス」の世界のように、ウサギが時空を超えて案内してくれたようだった。

 島を離れて竹原市内をのぞくと、昭和を飛び越え江戸にタイムスリップできる。「安芸の小京都」と呼ばれる「たけはら町並み保存地区」は、NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」で有名な竹鶴酒造(本家)があり、ドラマのロケ地にもなった(竹鶴政孝・リタ銅像が3年前に建った)。格子に漆喰(しっくい)壁の町並み、初めて来たけど、どこか懐かしい。

 聞いてみると原田知世主演の映画「時をかける少女」(1983年、大林宣彦監督)のロケ地だった。堀川醤油の蔵(『お好み焼ほり川』になっている)、胡堂(えびすどう)など、あの映画の通学路がよみがえる。大林監督の出身地である隣の尾道市だとばかり思っていたが、ロケは竹原市にまでまたがっていた。

 案内してくれた竹原市のイメージガール、たけはらかぐや姫の坂井篤子さん(29)は「リアルタイムでは知らないんです」と話した。もう35年も前の映画か。私が時をかけてしまっていたことを実感した。竹原には不思議がまだまだありそうだ。

 〇…瀬戸内のクルーズは、呉湾の夕暮れと海上自衛隊艦船を巡る「夕呉クルーズ」(1300円)や、4月に“あの人物”が泳いで渡ったことで有名になった向島と尾道をながめる「尾道水道クルーズ」(1500円)などがある。JR西日本の「せとうち島たびクルーズ」は大久野島や大崎下島の御手洗町並み保存地区などを巡るが現時点ではJR東海ツアーズなどの団体ツアー限定のクルーズになっている。グランドプリンスホテル広島から発着の大久野島などをめぐる日帰りクルーズは、瀬戸内海汽船トラベルサービス(TEL082・253・5501)で扱っている。

 ◆メモ 大久野島へはJR竹原駅から呉線で忠海(ただのうみ)駅へ10分、忠海駅から忠海港へ徒歩5分、忠海港から船で15分(310円)。問い合わせは竹原市観光協会(TEL0846・22・4331)へ。

  • 楽天SocialNewsに投稿!
趣味その他
今日のスポーツ報知(東京版)