上田初美女流三段、里見女流名人への挑戦権獲得

2016年11月28日22時29分  スポーツ報知
  • 里見香奈女流名人への挑戦権を獲得した上田初美女流三段

 将棋の第43期岡田美術館杯女流名人戦(主催・報知新聞社、日本将棋連盟、特別協賛・ユニバーサルエンターテインメント)リーグの最終9回戦一斉対局が28日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、上田初美女流三段(28)が伊藤沙恵女流二段(23)を破って通算成績7勝2敗とし、来年1月に開幕する五番勝負での里見香奈女流名人(24)=女流王座、女流王位、女流王将、倉敷藤花=への挑戦権を獲得した。

 最終対局まで5人に挑戦の可能性が残る(プレーオフ含む)デッドヒートを制したのは、0歳児の子育てに追われるママだった。

 若手実力派の伊藤との定跡形を離れた力戦に真っ向から挑み、ねじ伏せた上田は「(勝っても)プレーオフになると思っていたので、ビックリしています。久しぶりにタイトル戦に出られてうれしいです」と笑顔を見せた。

 同じ将棋棋士で幼馴染みの及川拓馬六段(29)と2013年に結婚し、昨年12月に第1子となる女児を出産。現在は育児中心の生活を送っているが、復帰後の今期は22勝6敗と圧倒的な力を発揮している。「負けず嫌いなので、結婚して、子供を産んで弱くなったと言われるのはすごく嫌でした。去年は狙える位置までいけたのに最終戦は産休で不戦敗だったので、今年こそはと思っていました」

 女流名人戦5番勝負への登場は、4期前に里見とフルセットの死闘の末に2勝3敗で屈して以来2度目となる。前回のシリーズは今も語り草で、最終局は女流棋戦で史上初めて将棋大賞の名局賞(特別賞)に輝く大激戦だった。「もうずいぶんと前のような気がします。ずっと里見さんと指したいと思っていましたけど、タイトル戦じゃないとなかなか指せない相手なので。今回の5番勝負が楽しみです」

 以下、終局後のインタビュー。

 ―挑戦権を獲得して。

 「今、知りました。プレーオフになると思っていたのでビックリしています」

 ―リーグ戦を振り返って。

 「初戦が復帰戦だったのですが、産休明けでどれくらい指せるのか手探り状態でした」

 ―と言いつつも高勝率を維持している。

 「勝っているとよく言われるんですけど、挑戦者決定戦で全部負けている(今期の女流王将戦と倉敷藤花戦)ので、意味ないんです。大事な将棋に勝てない期間が続いたので、調子がいいとは思っていませんでした。だから、久しぶりにタイトル戦に出られてうれしいです。負けず嫌いなので、結婚して、子供を産んで弱くなったと言われるのはすごく嫌でした。ひとつ結果が出て安心しています」

 ―母親になって、将棋観や職業観に変化は。

 「子供が生まれる前より将棋に使える時間が減っているのは間違いないので、今まで通りに指すのは難しいと思って指し方を少し変えました。どちらかと言えば受け身だったのを主導権を握りにいく指し方にして、攻めに比重を置くようにしたのがいい方向に出ています」

 ―4期前は名シリーズだった。

 「もうずいぶんと前のような気がしますね。あの直後に女王のタイトルも奪われて無冠になって…。ずっと里見さんと指したいと思っていましたけど、タイトル戦じゃないとなかなか指せない相手なので、今回の5番勝負が楽しみです」

 ―里見女流名人は今月25日、女流王座を奪還して5冠に復帰。ますまず充実している。

 「常に努力をされていて。すごいと思います。自分はああいうふうには生きられないと思うので。将棋界にはいろいろな才能がありますが、努力し続けられる才能は素晴らしいと思います。残念ながら自分にはない才能なので。尊敬していますので、戦いたいなと思っていました。いいシリーズにしたいです」

 なお、女流名人リーグは全日程を終えて、香川愛生女流三段(23)、中村真梨花女流三段(29)、室谷由紀女流二段(23)、中井広恵女流六段(47)、伊藤沙恵女流二段(23)が残留し、清水市代女流六段(47)、甲斐智美女流五段(33)、山田久美女流四段(49)、山口恵梨子女流二段(25)が降級した。

 5番勝負は来年1月15日に神奈川県箱根町の岡田美術館で開幕する。

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