【有馬記念・池江調教師に聞く】ミッキークイーン、サトノクロニクルの2頭出しで歴代最多更新5勝目狙う!

スポーツ報知
連覇&5度目の有馬記念制覇を狙う池江調教師

◆第62回有馬記念・G1(12月24日・中山競馬場、芝2500メートル)

 62年目を迎える有馬記念(24日、中山)で歴代最多の4勝を挙げる池江泰寿調教師(48)が新たな金字塔を打ち立てる。ミッキークイーン、サトノクロニクルの2頭出しで臨む今年、有馬記念史上最多を更新する26回目の出走に。8年連続で2頭以上を出走させることになるグランプリへの思い、サトノダイヤモンドで制した昨年に続く連覇の夢を託す2頭の可能性について語った。(取材、構成・内尾 篤嗣、山本 武志)

 ―今年も有馬記念の時期がやってきた。

 「何か、今年は気持ちが違いますよね。昨年までは一年を締めくくるレース。1周目を走る時に西日が差し込んで、年の瀬の哀愁が漂うというか、独特の雰囲気があった。ただ、今年はその後(28日)にホープフルSが控え、うちも出走馬(ジャンダルム)がいる。さびしさもありますが、僕たちは時代の流れに適合して、やっていかないといけない」

 ―今年はミッキークイーン、サトノクロニクルの2頭が出走予定。そうなれば、尾形藤吉元調教師の25回を超えて26回になり、単独最多になる。

 「(まだ62回目で)歴史の浅いレースですからね。もっと歴史の深いレースだったら尾形大先生とか、もっともっとすごい頭数になっているでしょう。天皇賞なら無理です(春秋総合し、今秋が156回目。1位の尾形元調教師は63回出走、池江調教師は28回出走)」

 ―昨年まで7年連続で複数頭出し。コンスタントに出走馬がいる。

 「幸せなことです。(定年まで)あと22年ぐらいあるのかな。100回出走は無理かもしれません。毎年4頭出ないといけないことになりますね。フルゲート16頭、そのうち5頭出したらひんしゅくですね(笑い)。出すのが1頭だけでもいいですが、(出走させる以上は)勝たないとあかんと思います」

 ―歴代最多の4勝。オルフェーヴルでの2勝は強烈だった。

 「3歳時(11年)は3冠を取った年でしたが、3歳牡馬のレベルが低いと言われていたんです。そして、ちょうどブエナビスタの引退レースでもあった。ここで負けてしまうと、あの馬にはかなわなかったと、ずっと言われてしまう。リベンジのチャンスがないわけですから。池添騎手には『あの馬には絶対に負けたらあかん。3冠馬の価値が落ちてしまう』とレースの何日か前から言っていました」

 ―5歳だった13年はラストランだった。

 「この時も負けられない気持ちでした。前走の凱旋門賞でトレヴに5馬身もの差をつけられた後の引退レース。このままでは終われないと思っていました。今の競馬は種馬も人も1、2年目で結果が出ないと厳しい世界。種馬として、いい繁殖をつけようと思うなら、引退レースは大事。ただ、勝つだけではなく、ぶっちぎって勝たないといけないと思っていた」

 ―そのグランプリに今年は2頭で挑戦。ミッキークイーンは前走のエリザベス女王杯は3着。去年の有馬記念でも0秒4差の5着だった。

 「今年も(同じローテーションだった)昨年と同じく脚元が安定しているので、きっちり乗り込めています。牝馬だけど使って良くなっていく」

 ―5歳牝馬だが、状態は?

 「毛づやがいい。ホルモンバランスの関係で、(5歳の冬は)母親になるための準備をしていく馬が多く、冬毛が出たり、ちょっとお腹が出てきたり、そういうところはありません。春には牝馬はフケ(発情)が出る馬がいます。お母さんになっていくからフケが出るんですよ。でも、この馬はそういうところがありません。まだまだ勝ち気な性格で、勝負根性もある。そういう気持ちがあるうちは、アスリートとして頑張ってくれます」

 ―サトノクロニクルはチャレンジCの重賞初勝利から中2週での挑戦。

 「前走後は少し軽めで調整していい状態です。距離が延びるのはいいと思います。小回りもそんなに苦にはしていない。まだまだ馬は緩くて、晩成タイプかなと思うけど、それでも良くはなっていますよ」

 ―今年は全国リーディング首位を走り、G1は3勝。どんな一年だった。

 「満足した一年ではなかったですね。取りこぼしたレースが多かった。サトノダイヤモンドはG1未勝利ですし、ミッキークイーンは同じ箇所をケガさせてしまった。数字のアベレージとしてはまずまずかもしれませんが、看板ホースを活躍させることができなかった不甲斐なさを感じています」

 ―今年勝てば、昨年のサトノダイヤモンドに続く連覇。調教師として違う馬での有馬記念連覇は過去2人(二本柳俊夫=80年ホウヨウボーイ、81年アンバーシャダイ=、藤沢和雄=02、03年シンボリクリスエス、04年ゼンノロブロイ=)。最後に意気込みを。

 「今年は何としても勝たないといけないと思ったオルフェの時とは違い、正直、挑戦者という立場だと思います。少しでも上位にきてほしいですね」

 ◆池江 泰寿(いけえ・やすとし)1969年1月13日、京都府出身。48歳。93年に栗東・浅見国一厩舎の厩務員になり、調教厩務員、助手を経て、翌94年には父の池江泰郎厩舎へ移る。95年からは英国、米国の名門厩舎の助手として腕を磨いた。2003年に調教師試験に合格し、04年3月に開業。JRA通算584勝。重賞はオルフェーヴルでの11年クラシック3冠などG1・19勝を含む72勝。

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