【高松宮記念 静香が見た】全29戦道悪未経験の香港馬ブリザード、良馬場を希望

スポーツ報知
芝コースで追い切られたブリザード。隣のダートコースに水が浮くほど中京競馬場では雨が降り続いた

◆高松宮記念追い切り(22日、中京競馬場)

 春のG1シリーズ開幕を告げる第48回高松宮記念が25日、中京競馬場で行われる。外国から唯一参戦した香港馬のブリザードが中京競馬場の芝コースで最終追い切り。陣営が馬場の回復を祈る同馬の動きを石野静香記者が分析した。

 ザーッという地面を激しくたたく雨音が中京競馬場を包む。光沢を帯びるはずの栗毛がくすむほど雨をかぶったブリザードが芝コースで四肢を動かし始めた。注目は、左回りの走りかどうか。コーナリングはスムーズ。馬なりでも徐々に加速していった。

 これなら初めての左回りでも対応できるかもしれない。見守ったイウ調教師は「騎乗した助手からは、正しい手前で回っていたと聞いている。特に問題はない」と心配する様子はなかった。

 初来日だった昨秋のスプリンターズSで0秒2差の5着と好走し、輸送や日本の芝は克服済み。今回最大のポイントはコース適性だと考えていた。「下りと上りのある直線はなじみがない」とイウ師は指摘しながらも、左回りは問題なしと判断した点は素直に信じたい。

 ただ、この日の調教でまたがったホーイン・ウォン調教助手の発言が気になった。「馬場をすごく気にしていたわけではないが、締まっている芝の方が動きはいい感じ。緩い馬場ならチャレンジになると思う」。調教を始めた7時前は最も雨あしが強く、最悪のコンディションでも脚を取られるようなアクションは見せなかったが、時計は5ハロン72秒0―14秒8。見た目以上に走りづらかったようだ。

 中京競馬場では19日から合計64・5ミリの雨を観測。馬場担当者によると「日曜まで雨予想は出ていませんが、良馬場まで回復するかは不明」という。23~25日の予想最高気温は15~18度で平年より3度ほど高く、馬場の回復は早いのではないだろうか。全29戦は全て良馬場。「どれだけこなせるか分からない」(イウ師)のが陣営の本音だが、力を出せる可能性は高いとみた。

 取材を終えて会見場を出ると、雨はピタッとやんでいた。「いつもガッカリさせない馬」というイウ調教師の言葉を思い出しながら、誰もいない芝コースに再び目を向けた。パンパンの芝でグングンと伸びてくるブリザードの姿が浮かんだように見えたのは気のせいだったか。(石野 静香)

 ◆プーンファイ・イウ(Poon―Fai Yiu/姚本輝) 1957年7月12日生まれ。60歳。95/96年シーズンに調教師免許を取得。今シーズンのリーディング順位は243戦24勝で7位(3月14日現在)。管理馬の日本初出走はウルトラファンタジーで挑んだ10年スプリンターズS。ライ騎手とのコンビで優勝を飾り、香港出身の調教師&騎手のコンビによる海外G1初制覇となった。来日は昨年のスプリンターズS(ブリザード=5着)以来3回目。

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