【読売マイラーズC・内尾が見た】モズアスコット、一番時計!安田記念出走権獲得へ攻めに攻めて必勝仕上げ

スポーツ報知
モズアスコット(手前)は坂路で鋭く伸び、タイセイサミットを突き放した

◆読売マイラーズC追い切り(18日・栗東トレセン)

 第49回読売マイラーズC・G2(22日、京都)に出走するモズアスコットが、栗東・坂路でこの日の一番時計となる51秒2をマークした。1着馬に優先出走権が与えられる安田記念(6月3日、東京)へ向け、“勝負駆け”ムードを漂わせた追い切りと陣営の胸の内を、内尾篤嗣記者がコラム「見た」でひもといた。

 安田記念出走を確実にするためには、ここで勝たねばならない。モズアスコットは目いっぱい負荷をかけられ100%の仕上げだ。前日から雨が降り続けた栗東で、パワーが必要な時間帯にもかかわらず、この日の一番時計51秒2を叩き出した。序盤からスピードに乗って進め、ゴーサインに応えて鋭い伸び。タイセイサミット(5歳オープン)を突き放し、2馬身先着と中身は濃かった。

 パワフルな動きに矢作調教師は「調教で動く馬だけど、(時計が出る)朝一番の馬場じゃない。3ハロン目(12秒1)が速くて評価できる内容。最後は12秒6でまとめて、さすがの走りだった」と賛辞を繰り返した。1週前にルメールが騎乗して53秒2―12秒4。折り合いを確認し、当週は助手の騎乗でビッシリ。攻めに攻めた目的は、賞金面で微妙な立場にいるためだ。

 今年まで降級制度があり、4歳馬は日本ダービー後にクラス編成がある。G1には賞金持ちの年長馬が数多く参戦するため、賞金が半減すると出走への雲行きが怪しくなる。「賞金を持っていないので、今後について偉そうなことは言えない。でも、G1に出るためにいい競馬をしないと」と矢作師は勝負の一戦とみている。

 前走の阪急杯は差し届かず2着。「外枠(17番)が大変でしたし、ペースがあまり速くなくて行きたがっていた。でも最後はいい伸び。次は楽しみです」と、ルメールはレース後に振り返った。「その週で引退された福島先生(調教師、ダイアナヘイロー=1着)のパワーはすごかった。今回は後肢の筋肉が盛り上がってきたし、2戦2勝のマイルなので楽しみ」と矢作師。前回は引き立て役になってしまったが、勝って優先出走権を取り、主役としてG1へ進むか注目だ。(内尾 篤嗣)

 ◆降級制度 現行制度では日本ダービー終了後の夏季競馬スタート時点で、4歳馬の収得賞金は2分の1になる。これにより一度優勝したクラスの競走に再び出走できるメリットはあったが、一方で同じクラスでありながら降級馬とそれ以外の馬の力差が大きいこと、降級により高条件クラスの馬が大幅に減少することなどのデメリットもあった。そこで、来年から4歳馬が夏季競馬を迎えても賞金は半額にならないよう制度が見直された。

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