【日本ダービー シルクレーシング米本昌史代表インタビュー】ブラストワンピース、常識覆すローテーションで無敗王者狙う 

スポーツ報知
ブラストワンピースで制した毎日杯のゼッケンを手にする米本代表。2週連続のG1制覇に期待を抱く

◆第85回日本ダービー・G1(5月27日・芝2400メートル、東京競馬場)

 競馬の祭典、第85回日本ダービー(27日、東京)で底知れぬ魅力を感じるのがデビューから3戦3勝のブラストワンピース。先週のオークスをアーモンドアイで制したシルクレーシングの米本昌史代表(43)がインタビューにこたえ、2週連続G1制覇への思いを語った。

 ―シルクレーシングは今年に入ってからG1・2勝を含む重賞7勝。ブレイクの年となりました。

 「なかでも3歳世代の躍進がすごいと感じています。芝、ダート、短距離から長距離まで。オープンで活躍してくれました」

 ―桜花賞はアーモンドアイで勝利。14年に米本さんが代表に就任されてから初のG1制覇です。

 「多くの花をいただき、普段は競馬をご覧になっていない方からの祝福も多かったですね。本当に影響が大きいな、と実感しています」

 ―現3歳世代が好調な要因はどのように分析していますか。

 「昨年4月に福島・ノーザンファーム天栄の坂路が2度目のリニューアルを行っています。今の3歳世代は、ここで調教を消化してきました。半年間、試行錯誤しながらいい形ができたのかな、と思いますね。今は外厩とトレセンの連携が非常に円滑だと感じています」

 ―そして世代の頂点を決めるダービーには3戦無敗のブラストワンピースを送り込みます。

 「1歳の6月で初めて実際に見たのですが、正直あまり印象がないのです。ハービンジャー産駒で緩かったものですから。馬格はあったのですが」

 ―夏の函館に入厩後も無理せず、デビューは11月でした。

 「レース後はいい意味で驚きがありましたね。半信半疑だったので。まだしっかりしていない段階であれだけの走りをしてくれましたから」

 ―2戦目はゆりかもめ賞。ダービーと同じ舞台でした。

 「大竹先生が『2400メートルを走らせたい』と。可能性を見据えていたのでしょう。他馬にぶつかって、狭いところでもひるまずに加速しました。力強かったですよね」

 ―大竹調教師とはブラストワンピースの話をよくされますか。

 「ものすごく褒めていたのが、走り始めるとリラックスする点ですね。調教でも馬場入りではテンションが上がるようですが、いざ走ると心拍数が落ち着く。毎日杯のように出していってもすぐに折り合えるのは、そうした面が影響しているのでしょう」

 ―ダービーを意識されたのはいつ頃ですか。

 「ゆりかもめ賞を勝って、ダービーを逆算してローテーションを考えました。背腰に疲れが出やすい馬なので、本来なら青葉賞まで間隔を空けたかったのです。ただそうなると、ダービーまでの間隔が短い。ダービーに最高の状態で送り出すことを考えるのであれば、ベストは毎日杯ではないかと」

 ―ゆりかもめ賞から毎日杯までは1か月半の間隔でした。

 「あの時が馬も一番しんどかったでしょう。100%の出来ではなかったと思っています。もし賞金を加算できなかったら、ダービーを目指すことなく秋へ備えていたのではないでしょうか」

 ―ある意味、“賭け”に勝ったのですね。

 「今回はダービーまで2か月と十分な間隔がありますから。毎日杯の前よりカイバ食いが良く、すごくいい感じですよ」

 ―シンザン記念から桜花賞に直行したアーモンドアイもそうですが、セオリーとは違うローテーションが多いように思います。

 「私自身、この業界が長くないですから。セオリーはあると思っているのですが、現場の提案はしっかり受け入れていきたいと思っています。それにここ数年の競馬を見ていると、レースの消耗度というのは間違いなくあると思うのです。時計も年々速くなっていますから。実戦で受けるダメージは、成長期の馬にとって相当なものではないでしょうか」

 ―悠然と構えている姿が印象的です。

 「僕がワーッとなっても仕方ないですから。ダービーを勝った時にどんな気持ちになるか。それは終わってから考えればいいことだと思っています。まずは無事にゲートインできればいいですね」(聞き手・豊島 俊介)

 ◆米本 昌史(よねもと・まさし)1975年、東京都生まれ。43歳。不動産業界を経て、12年1月にノーザンファーム入社。13年1月からシルクレーシングに参画し、14年8月には同代表取締役に就任した。これまでの印象的なレースはジェンティルドンナとオルフェーヴルが壮絶な叩き合いを見せた12年ジャパンC。趣味はゴルフ。

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