【日本ダービー】マカヒキもレイデオロも鍛えた“虎の穴”ノーザンファーム天栄に迫る

スポーツ報知
昨年のダービー馬を送り出した“虎の穴”で指揮を執るNF天栄の木実谷場長

◆第85回日本ダービー・G1(5月27日・芝2400メートル、東京競馬場)

 福島県天栄村の静かな山あいに、東京ドーム約10個分の敷地を誇るノーザンファーム天栄はある。昨年のダービー馬レイデオロを送り出した前線基地は、約100人のスタッフで200頭以上を管理。その指揮を執るのが木実谷雄太場長(37)だ。

 「レイデオロは皐月賞後に3週間いたと思うんですが、ダービー前だから特別な調整をしたわけではなく、目標のレースから逆算して組み立てていきました」

 これまで数多くのG1馬を送り出したが、天栄では土台づくりに重点を置いている。

 「牧場の調教レベルがあって、トレセンのレベルがあって競馬がある。そのステップだと思うので、トレセンでしっかり追えるだけの下地をつくって送り出す感じです」

 今年で7年目を迎える天栄は、進化を続けている。昨年4月には坂路の傾斜を約28メートルから約36メートルに改修。より負荷がかかる状況で各馬のレベルアップにつなげている。

 「坂路効果もそうですが、ノウハウの蓄積と、私自身も含めてスタッフの経験値が上がっているのも大きいです」

 その蓄積がアーモンドアイのシンザン記念から桜花賞制覇という異例のローテーションを可能にした。

 桜花賞後、“第二の故郷”に戻って英気を養ったアーモンドアイは、オークスで牝馬2冠を達成。ダービーに送り出す馬たちにも、自然と期待は膨らむ。

 「坂路の回数もトレセンに戻す時期も、それぞれの状況に応じて変わってきます。ブラストワンピースは前走後の痛みが少なく、具合が良かった2走前と同じくらいの状態で送り出しました。ステルヴィオは前走後、気持ちが高ぶっていたのと、少し体も細くなったので、回復を見ながらの調整でしたね」

 他にもジェネラーレウーノ、オウケンムーン、コズミックフォース、ゴーフォザサミットの関東勢に加えて、関西馬のワグネリアンも在厩した。

 「スタッフが携わった馬がダービーに出てくるのはうれしいですね。どのレースも勝ちたいし、どの馬にも勝ってほしい。次の1勝、10勝、100勝を目指して、どんどん頑張っていかなければと思っています」

 レイデオロだけではなく、一昨年のダービー馬マカヒキも在籍経験のあるノーザンファーム天栄の“3連覇”へ目が離せない。(西山 智昭)

 ◆木実谷 雄太(きみや・ゆうた)1980年8月5日生まれ。東京都出身。37歳。国学院久我山高から東京農工大へ進学し、馬術部に所属。卒業後の03年からノーザンファーム空港で勤務。同12月から山元トレーニングセンターへ。11年10月からノーザンファーム天栄に移り、15年から場長を務める。

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