【宝塚記念 ジョン・ムーア調教師に聞く】香港馬初参戦!ワーザーは道悪巧者「雨が降ってくれれば言うことなし」

スポーツ報知
21年ぶりに外国から参戦するワーザー。雨を歓迎する

◆第59回宝塚記念・G1(6月24日・芝2200メートル、阪神競馬場)

 第59回宝塚記念・G1が24日、阪神競馬場で行われる。注目は21年ぶりに外国から参戦する香港のワーザー。管理するジョン・ムーア調教師は、梅雨時期の日本なら香港で「スイマー」と呼ばれる7歳馬にチャンスがあると明言した。

 ―宝塚記念に外国調教馬が参戦するのは21年ぶり2頭目。香港馬ではワーザーが初めての挑戦です。

 「JRAから送られてきたレースプログラムを見て、2200メートルのピッタリのG1があると思っていました。阪神は東京より芝が重く、それほど時計は速くならないと聞いています。馬場も合うと思うので遠征に向けて調整を始めました」

 ―2走前の香港ゴールドC(2着)で鼻出血を発症し、3か月の出走停止。復帰戦のライオンロックTは6着でした。

 「勝ち馬から4馬身1/4差離された6着だけど、次を見据えて100%の仕上げではありませんでした。おまけにトップハンデ(約60キロ)を背負って道中、肝心なところで2度の不利。それでも末脚に見どころがありました。レース後に状態が上昇していたので、最終的に遠征を決断しました」

 ―日本に入ったのは14日。現地での様子を教えてください。

 「日本に行くのは初めてだけど今までニュージーランドからオーストラリア、香港と長距離輸送の経験があったので特に心配はしていませんでした。家内のフィフィ、フランス人攻め馬手、厩務員が同行して、到着後に家内から『状態は変わりなく良好』と連絡がありました。検疫入りした三木での様子が動画で送られてきましたが、十分に落ち着きがありました」

 ―今後の調整メニューをどのように考えていますか。

 「検疫が明ける20日に阪神競馬場に移動して、21日に最終追い切り。記者会見でいい報告ができると思っています」

 ―鞍上には去年の世界ナンバー1ジョッキーのボウマンが2戦ぶりに戻ってきました。

 「彼は日本での騎乗経験が豊富で日本の競馬をよく知っています。だからこそ起用しました。もちろん期待は大きいです」

 ―道悪に強いワーザーですが、やはり渋った馬場を望んでいますか。

 「香港のメディアはワーザーを『スイマー』と言ってくれているように、ソフトなトラックは大歓迎。今、日本はレイニーシーズン。当日、雨が降ってくれれば言うことなしです」

 ―これまで日本馬とは香港で2勝1敗。今回はどの馬を警戒していますか。

 「(16年の)香港ヴァーズでハイランドリールに勝ったサトノクラウンに強い印象があります。でも、1番人気はサトノダイヤモンドの方になりそうなんですね。研究をしなくてはいけません」

 ―現状のレースプランをどのように考えていますか。

 「後ろから行って末脚で勝負するのがこの馬。そういう競馬になると思うけど、当日の天候、馬場状態などを見てボウマンと最終的に戦略を決めることになります」

 ―外国調教馬として初の宝塚記念制覇に向けた抱負を聞かせてください。

 「自信がなければ挑戦していません。しっかり仕上げて臨むことを約束します。私にとって11年ぶり(※)の日本遠征。悔いのないレースをしたいです」(聞き手・甘粕 代三)

※07年の安田記念で2頭出ししたジョイフルウィナー(9着)とエイブルワン(12着)以来。

 ◆ジョン・ムーア(John・Moore)1950年3月17日、オーストラリア生まれ。68歳。香港現役最長老調教師で歴代最多勝、最多獲得賞金。85年に父ジョージの下から独立して開業。リーディング7回。通算1600勝以上。香港初の1000勝調教師で『千勝爺』の異名も。大レースに滅法強く、香港国際競走4レースは全て制覇。昨シーズンはラッパードラゴンで香港競馬史上初の4歳3冠達成。香港名は「約翰摩亞」。

競馬

×