JRA騎手引退…がんと闘った「どん底ジョッキー」大下智さんのドキュメントが23日にオンエア

スポーツ報知
サラブレッドの世話をする大下智さん

 今月20日付でJRA騎手を引退した大下智さん(32)にスポットライトを当てたドキュメンタリー番組「もう1度、騎手になりたい。ガンと闘ったどん底ジョッキー」が大阪・カンテレで23日深夜1時50分に放送される(関西ローカル)。甲状腺がんを克服し、再びレースに復帰するまでの過酷な道のりを追う。

 大下さんはデビューした2007年には8勝を挙げたが、鳴かず飛ばずで騎手生活11年間でわずか計17勝。昨年は2勝(地方交流戦1勝含む)したものの、ここ数年、ほぼ調教で生計を立てながら、競馬のある週末は自宅で過ごすような生活を続けていた。

 同期の浜中俊(すぐる、29)や藤岡康太(29)がG1ジョッキーとして活躍する一方で、「今ジョッキー界で120等兵ぐらいちゃう?」と自己評価した大下さんは、引退すべきか自問自答を長く繰り返していたが、昨年10月に甲状腺がんのステージ4という衝撃的な診断が下された。

 視力と声を失う可能性もある中、手術を受け、2か月半、入院。手術は成功し、再び騎乗できる可能性が残されると「馬に乗りたい。騎手でありたい」との思いを再認識した。「周りにどう思われようが、そんなことはとっくに分かってて。辞める、辞めへんは周りにとやかく言われることじゃない。もう僕の意地だけじゃないですか?」と大下さんは語った。

 番組では、栗東トレセンに復帰した今年4月からの大下さんの、内外のさまざまな闘いを伝える。カンテレの柴田俊介ディレクターは「華々しいイメージの裏面にある競馬界の厳しさ、普段テレビで見ることのできない現実が伝わるとうれしいです」と話している。

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