【宝塚記念】伏兵ミッキーロケット、G1初制覇!和田騎手はテイエムオペラオーで勝った01年の天皇賞・春以来、17年ぶりのG1タイトル!

スポーツ報知
馬場の乾いたインから伸びたミッキーロケット(手前)。首差でワーザー(右)の猛追を封じた

◆第59回宝塚記念・G1(6月24日・芝2200メートル、阪神競馬場、稍重)

 第59回宝塚記念・G1が24日、阪神競馬場で行われ、7番人気の伏兵ミッキーロケットが直線で内から抜け出し、G1初制覇を飾った。鞍上の和田竜二騎手(41)は、今年5月に死んだテイエムオペラオーで勝った01年の天皇賞・春以来、史上最長となる17年1か月25日ぶりのJRA・G1制覇に男泣き。2着には21年ぶりに外国から参戦した香港馬のワーザー、3着に12番人気のノーブルマーズが続き、3連単は49万2560円の波乱の決着となった。

 「長かった」。17年ぶりのお立ち台に立った和田の端正な顔がゆがむ。「この一戦にかける思いは強かった。オペラオーが後押ししてくれた」。5月17日に心臓まひで急死した最愛のパートナー、テイエムオペラオーで制した01年天皇賞・春以来のG1タイトルに声を詰まらせた。「僕は若いつもりでいたけど、さすがに長すぎる。勝って報告したいと思っていた。胸を張って行ける」

 久々に手にした栄冠への道程は終始、冷静だった。ミッキーロケットが以前は課題だった発馬を決めると、好位のインへ。馬群が凝縮した4角ではスパートをかけて後続を振り切り、ワーザーを首差しのいだ。「スタートが上手になってくれて心強かった。前が流れていたし、勝負どころでついて行ければ粘ってくれると。(G1を勝てる)感触はずっとあった。コンビをずっと組ませてもらって特徴を生かせた」。16年秋から主戦を務め、12戦目に結実。ゴール直後、涙を拭うかのように左腕を顔に当てた。

 最後のG1制覇から銀メダルは10度。昨年、40歳にしてキャリアハイの年間96勝を挙げたが、G1タイトルとは無縁だった。「悔しい思いをしたが、負けてないと思って続けてこられた。ファン、師匠の岩元先生も見守ってくれていたし、子供達にも初めて生で見せられた」。家族は来場しなかったが、11歳の双子の男女、1歳半の次女の父親としての顔も見せた。

 背中を押してくれたオペラオーとは引退した数年後に再会したが、それ以降は控えた。再びけい養先へ向かったのは急死した1週後の5月24日。「意固地にならず、会っておけばよかったという思いと勝って行きたいという思いがあった。でも、こだわらなくていいんだよと言ってもらった気がした」。この日のレーシングプログラムの裏表紙は18年前の覇者テイエムオペラオー。空から見守った愛馬へ朗報は確かに届いた。

 G1馬となった5歳馬は夏を休養に充て、京都大賞典(10月8日、京都)からの始動を予定。「ジャパンC(11月25日、東京)を狙おうかなと思う」と音無調教師はさらなる高みを目指す。23日に41歳の誕生日を迎えたばかりの和田が17年ぶりにタイトルを奪取した余勢を駆って秋も頂点を追う。(橋本 樹理)

 ◆ミッキーロケット 父キングカメハメハ、母マネーキャントバイミーラヴ(父ピヴォタル)。栗東・音無秀孝厩舎所属の牡5歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算成績は22戦5勝。総収得賞金は3億6247万8000円。主な勝ち鞍は日経新春杯・G2(17年)。馬主は野田みづき氏。

      <同期・福永騎手「おめでとう」>

 ○…花の12期生(96年デビュー)の同期である福永はレース直後に「おめでとう」と和田を祝福した。福永が99年桜花賞(プリモディーネ)でG1初制覇を飾った翌週に、和田も皐月賞(テイエムオペラオー)を制覇。今回は福永が悲願のダービーVを飾った直後で、和田は「デジャヴじゃないかと思った。『お前が勝たんと俺も勝たんわ』と返した」と同期の絆に笑顔を浮かべた。

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