【スプリンターズS 吉村が見た】春秋スプリント王狙うファインニードル、理想的な臨戦過程で死角なし

スポーツ報知
休み明けを叩いて順当に良化しているファインニードル。春秋スプリント制覇なるか

◆第52回スプリンターズS・G1(9月30日・1200メートル、中山競馬場)

 秋のG1シリーズ開幕を告げるスプリンターズSが30日、中山競馬場で行われる。注目は春の高松宮記念を制したファインニードルが、史上5頭目となる同一年の春秋スプリント制覇を達成することができるか。12着に敗れた昨年と今年の臨戦過程を比較した吉村達記者が「見た」で探った。

 完勝だった前哨戦から中2週。死角を探すのが無意味と感じるほど、ファインニードルは順調だ。「登録している以上、前走以上(の状態)はあると捉えてもらっていい」と高橋忠調教師。王者としてライバルを迎え撃つ準備が整いつつある。

 4歳時と大きく異なり、強調材料となるのが臨戦過程だ。昨年は北九州記念にピークを合わせ、その“お釣り”でセントウルSを制覇。スプリンターズSは「使うだけという感じだった」とトレーナーが振り返るように、強敵相手に経験を積ませる意味があった反面、勢いに任せた部分もあった。

 今年は夏場を休養に充て、満を持して秋競馬で復帰。前走のセントウルSは高橋忠師が「6~7分くらいの出来」と評価する仕上がりだった。にもかかわらず、海外遠征後の休み明け、開幕週の外枠、道悪、斤量58キロと課題を全て克服。見た目にも無理のない内容で、理想的な始動となった。主戦の川田も「さらにというより、かなり良くなると思います」と大幅な良化の余地を口にした。

 唯一の不安はレース後の反動だったが、中間の栗東・坂路では意欲的に乗られている。20日の1週前追い切りは川田を背に54秒8―12秒5、23日も57秒3―12秒9と時計を出した。新村厩務員は「筋肉がついて良くなっている。体を増やしながらやれており、金曜(21日)で490キロ(前走470キロ)。ちょうどいい」。上積みを加えつつ、中山への輸送も考慮した調整ができている。

 昨年2月、キャリア16戦目でオープン入り。その後も着実に地力を蓄えてきた。「今年初戦のシルクロードSまでの休養で別格の馬になった」とトレーナー。下積み期間も無駄でなかったことは、展開不問の自在な競馬ぶりが証明している。

 取材の感触は高松宮記念の時より確実にいい。今年は日本馬に負けていない点も頼もしく、◎の筆頭候補。26日の最終追いで真っすぐ、パワフルに駆ける姿が確認できれば、迷わず軸に指名したい。(吉村 達)

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