【ドバイワールドカップ・能力分析】今年もアメリカ勢が能力上位

スポーツ報知
昨年の米最優秀3歳牡馬ウエストコースト

 G1ドバイワールドカップが31日に迫った。アメリカ調教馬が強いことで知られる一戦で、昨年もアロゲート、ガンランナー、ネオリシックとアメリカ勢が1~3着を独占。ダート大国・アメリカの実力を素直に評価した方がいいだろう。

 ウエストコースト(牡4歳、米・バファート厩舎)は、昨年の米最優秀3歳牡馬。ステップレースで取り上げたG1ペガサスワールドカップでもガンランナーの2着と、実力はアメリカでもトップクラスだ。

 注目したいのは、逃げ切り勝ちを収めた昨年8月の米G1トラヴァーズS(ダート2000m)。4コーナー過ぎで米G2ブルーグラスSなど重賞3勝のアイラップ(3着)に並ばれたが、直線に入ると同馬を振り払い、さらに後方から追い上げてきたガンナヴェラ(2着)の追撃も完封した。ケンタッキーダービー馬オールウェイズドリーミング(9着)、プリークネスSの覇者クラウドコンピューティング(8着)、ベルモントSのタップリット(4着)と米3冠レース優勝馬を一蹴しており、世代最強を印象づけた。

 勝ちタイムは2分1秒19と上々。400メートルごとのラップを見ると、23秒82、24秒30、24秒11、24秒59、24秒37と平均的に速いラップを刻んでいた。ドバイワールドカップで逃げの手に出るとは限らないが、出脚の速さは今回のアメリカ勢のなかでもトップの存在。難なく好位を取って、早めに抜け出す形になるだろう。

 ムブタヒージ(牡6歳)は、一昨年のドバイワールドカップ2着馬。昨年も4着に好走し、その後にウエストコーストと同じボブ・バファート厩舎へと移籍した。

 9月の米G1オーサムアゲインS(ダート1800メートル)で差し切り勝ちを決めてG1初制覇を果たしたが、以降は連敗が続いている。それでも見直したいのが、前々走の米G2サンパスカルSと前走の米G1サンタアニタHだ。積極的に前のポジションを取るようになった点に注目したい。

 サンパスカルSではスタートから出してハナに立ったが、後続に早めに来られて3着。サンタアニタHでは先手を取り、3コーナーで後続に交わされながらも盛り返して2着に粘った。メイダンのダート戦では1~3番手あたりを取れないと勝負にならないだけに、近2走のレース内容が本番にもつながるだろう。昨年の優勝馬アロゲートを手掛けたバファート厩舎の2頭には、注意を払いたい。

 ◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、南関東版・競馬ブックと研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。

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