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愛し愛されたC大阪からライバルクラブへ G大阪・クルピが“禁断”の監督就任を恐れないわけ

2018年1月19日14時0分  スポーツ報知
  • 18日、関西空港に到着したG大阪・クルピ監督

 迎えに来ていた旧知の関係者を見つけたレヴィー・クルピ監督は、満面に笑みを浮かべた。

 1月18日、今季からG大阪を率いるブラジル人指揮官が来日した。取材に訪れた報道陣への第一声は「メッチャアツイ」と日本語だった。通訳を通じて「覚えている日本語はこれだけですよ」とさっそくジョークを飛ばすと、長旅の疲れを見せることもなくにこやかに取材に応じた。

 C大阪を計7年間率い、MF香川(現ドルトムント)、MF乾(現エイバル)ら若手を次々と重用し、トッププレーヤーに育てる功績を残したクルピ監督。07、12年と2度もシーズン途中から監督に就任し、苦しむチームを立て直した名伯楽は、サポーターからも絶大な人気を誇った。そんな“桜の指揮官”のG大阪監督就任は、両クラブのサポーターにとって大きな衝撃だった。

 ともに大阪を本拠地とするG大阪とC大阪の両方を率いるのは、クルピ監督が初。日本人の感覚なら、かつて自身が率いたクラブのライバルチームの指揮を執ることには、少しは躊躇(ちゅうちょ)するだろう。しかし「ブラジルとは違っていて、日本の皆さんはプロとして仕事をしている人へのリスペクトがある」と就任への障害がなかったことを明かした。

 クルピ監督がG大阪監督就任をおそれなかった理由のひとつには、ブラジルの監督事情がある。85年にブラジルのジュヴェントゥージで監督としてスタートし、なんとG大阪が32クラブ目。その中には、同じリオ・デ・ジャネイロを本拠地とするボタフォゴとフルミネンセ、サンパウロにあるサントスとパルメイラスなど、同都市のライバルクラブも含まれている。

 「ブラジルで監督業をやることは、世界のどの国にも例えられない。今年も州選手権が始まって、第2節で監督交代があった。ブラジルのサッカー界は、残念ながらそういう道を歩んでしまっている。ブラジルでサッカー監督をしていれば、怖いものは何もない」

 ブラジルでは政治など複数の事情が絡み合い、監督交代のサイクルが異常に早い。よって監督が、翌年にはライバルチームの指揮を執るという事例は、いくらでもある。サッカー大国で経験豊富な指揮官にとっては、歴史の浅いJリーグにとっての“禁断”など、おそれるたぐいのものではなかったのだろう。

 チームは20日に始動し、同日には会見も行われる予定。G大阪の選手たちについて「遠藤は言うまでもなく、日本のサッカー界で歴史をつくった選手。他にもクオリティーの高い選手がたくさんいる。いい選手がそろっていることを証明することが、私の仕事だ」と語った指揮官。昨季は10位と低迷したクラブを、どう建て直すのか。今月28日には38歳を迎えるMF遠藤をどう起用するのか。香川の才能を見いだしたように、どんな若手を抜てきするのか。その手腕に、大きな注目が集まる。(記者コラム・金川 誉)

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