ハリル監督テスト失敗「日本人はアフリカとやるとデュエル面での難しい」マリにあわや敗戦

スポーツ報知
後半、ハリルホジッチ監督はふがいない選手の動きに、怒りのあまりクーラーボックスを蹴り上げた(カメラ・竜田 卓)

◆サッカー国際親善試合 日本1―1マリ(23日・ベルギー・リエージュ)

 日本代表はマリ代表と対戦し、1―1で引き分けた。前半にPKから失点したが、後半ロスタイムに代表デビュー戦のFW中島翔哉(23)=ポルティモネンセ=が代表初となるゴールを決め、追いついた。ロシアW杯1次リーグで対戦するセネガル対策となる試合だったが、全体的には警戒していたアフリカ勢のスピード、パワーを前にミスが目立ち、本大会へ向けて課題が多く残った。日本代表は27日にウクライナ代表と親善試合を行う。

 閑古鳥の鳴くスタンドに最後まで響いたハリル監督のゲキは勝利には結びつかなかった。試合が終わるとしばらくベンチから立てず、会見でもいつもの元気はなかった。「何を言えるのかなという試合。現実を直視しないといけない。W杯は遠い」。“仮想セネガル”として試合を組み、8人の主力をけがで欠く1・5軍のマリを圧倒できず1―1で引き分け。明るい話題が中島の得点だけでは、W杯に向けた不安は募る一方だ。

 今回の遠征は当初、メンバーを固定して臨む方針だったが、けが人続出、出場機会が少なく試合勘を失って招集できない選手もいたため“テスト”への方針転換を余儀なくされた。FW宇佐美、MF森岡、大島らフレッシュな選手を先発起用したがチャンスを決めきれない。前半34分、大島が右ふくらはぎを痛め交代すると、同44分にはDF宇賀神がPKを与えて先制点を許してしまう悪い流れ。後半は、身体能力の高い相手に押し込まれる場面もあり、効果的な攻撃もなく終了の笛。「日本人はアフリカのチームとやるとデュエル面(1対1)での難しさが出る」。セネガルの実力はマリよりも数段上なだけに見通しは厳しい。

 今回の遠征を2連勝して勝利のスパイラルをつくると言っていたハリル監督の言葉がむなしくなる内容。「やるべきことはたくさんある」と語った指揮官は、それが何か問われると「すべて、すべて、すべて、すべて、すべて」と5度繰り返した。DF長友は「今日の試合で苦戦しているようではW杯で勝つのは厳しい」と険しい表情を浮かべた。会場にはW杯初戦で激突するコロンビア代表が“007”を送り込んでいたが、赤っ恥をさらしてしまった。

 W杯戦士の発表は、5月30日の親善試合ガーナ戦翌日の31日を予定している。「トレーニングを続けるしかない」とハリル監督は語ったが、ここから劇的にチームが伸びる可能性は低い。W杯まで残り3か月。選手の見極めと同時にどれだけチームの底上げができるのか。指揮官に残された時間は少ない。(斎藤 成俊)

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