ハリル前監督が涙と怒りの再来日「私をゴミ箱に捨てた」

スポーツ報知
サングラスをかけて上を向き、あふれる涙を隠そうとするハリルホジッチ氏(カメラ・斎藤 成俊)

 サッカー日本代表監督を電撃解任されたバヒド・ハリルホジッチ氏(65)が21日、羽田空港に来日した。日本協会から、選手との信頼関係が薄れたなどの理由で契約を解除されたハリル氏は約100人の報道陣を前に、サングラスで涙を隠しながら「私をゴミ箱に捨てたような状態。真実を探しにきた。闘わないといけない」と納得できるまで“徹底抗戦”することを誓った。27日に都内で会見し、更迭への反論を行う見通しだ。

 日本に降り立つと、改めて悔しさ、怒りがこみ上げてきた。報道陣を前にしたハリル氏は、監督時代に“二人三脚”で歩んできた通訳が涙で言葉を詰まらせると、目を潤ませ声を震わせた。「日本に来るのはいつも楽しみで、喜びを持っていますけど、今回の状況はちょっと特別です」。一度取ったはずのサングラスをサッとかけると、涙が流れないように羽田空港の高い天井を見つめ、しばらく無言となった。

 厳しい表情の多いハリル氏が公の場で泣いたのは、ロシアW杯出場を決めた昨年8月31日のアジア最終予選オーストラリア戦以来だった。今年の3月以来約1か月ぶりの来日で見せた涙は、その時とはまったく意味が違った。気持ちを落ち着かせると、弱々しい言葉ながら節々に怒りをにじませた。

 「何が起きているか理解できていない。真実を探しに来た。私をうんざりさせるような状況に追いやって、私をゴミ箱に捨てたような状態。ただ、私の誇りを傷つけるようなところとは闘わないといけない」

 3月のベルギー遠征後、選手とのコミュニケーション、信頼関係が薄れたなどの理由で4月7日にパリ市内で、日本サッカー協会の田嶋幸三会長(60)から解任を告げられた。6月14日開幕のロシアW杯まで残り約2か月での更迭。青天の霹靂(へきれき)だったハリル氏は契約解除を通達する書類を受け取らず、10日にはスポーツ報知の取材に対し「でっち上げだ」と日本での会見を示唆していた。

 今回の滞在中、引っ越し作業を行うほか、27日には都内で会見を予定しており、爆弾発言が予想される。日本協会は契約解除の手続きに不備はないとして静観の構えで、説明を求められれば応じる姿勢。「私はまだ終わっていない」。涙で“徹底抗戦”を誓った元指揮官。まだまだ着地点は見えてこない。

 ◆コメント全文

 「日本に来るのはいつも楽しみで、喜びを持っていますが、今回の状況はちょっと特別なものです。45年フットボールに関わっていて、本当にこのフットボール人生で難しいものになっています。何が起きているか理解できていない状況です。真実を探しに来ました。本当に公に私は真実を知りたいな、と。本当に私をうんざりさせるような状況に追いやって、私をゴミ箱に捨てたような状態で。まあ、私はまだ終わっていないと思っています。ただ、私の本当に誇りを傷つけるようなところとは闘わないといけないと思っています。このような対応をされると、特に日本という素晴らしい国で。日本は本当にお互いに尊敬し合って、お互いにリスペクトするという文化のところですが。ただ、まだ私は終わってない。メルシー」

 ◆ハリル監督解任前後の動き
 ▼3月23~27日 ベルギー遠征でマリ、ウクライナに1分け1敗。
 ▼4月7日 パリ市内のホテルで日本サッカー協会の田嶋幸三会長が選手とのコミュニケーション、信頼関係が薄れてきたなどの理由でハリル監督に解任を伝える。
 ▼同9日 田嶋会長が帰国し解任を発表。
 ▼10日 ハリル氏がフランス・リール市内の自宅で取材に応じ「何が起きたか分からない」「ウソ」「でっち上げだ」と怒りをあらわにする。
 ▼20日 27日に都内で会見を行うことが発表される。
 ▼21日 ベルギー遠征に出発した3月18日以来となる再来日。

サッカー

×