ハリル氏、暴露!W杯決定直後「2選手ががっかりしていた」

スポーツ報知
会見で監督解任について不満を表すも、最後は日本代表にエールを送ったハリルホジッチ氏(カメラ・竜田 卓)

 日本代表監督を電撃解任されたバヒド・ハリルホジッチ氏(65)が27日、都内の日本記者クラブで会見を行った。日本サッカー協会から選手とのコミュニケーション不足、信頼関係が薄らいだと解任されたが、大きな問題はなかったと反論。「問題があると一度として言ってくれなかった」と、6月14日開幕のロシアW杯2か月前まで問題提起のなかった協会側を批判した。ただ解任は受け入れており、最後は日本代表にエールを送った。

 いつものようにまくし立てることはなかった。ハリル氏は予定の1時間を超える1時間33分、332人の報道陣を前に、9日の会見で日本協会の田嶋幸三会長(60)が述べた選手とのコミュニケーション不足という解任理由へ疑問を呈した。

 「最悪の悪夢」は7日、パリ市内のホテルで起きた。田嶋会長から「3月のベルギー遠征後から選手との信頼関係が薄らいだ」と解任を通達された。「冗談だと思った。どの選手かと聞いたら会長は『全般的に』と」。事実を受け入れられず約5分で話し合いを切り上げ、欧州組視察中のフランス人スタッフに「もう家に帰れ。終わったよ」と電話するしかなかった。解任騒動で体重は5キロ減ったという。

 信頼関係の崩壊は否定した。「就任した3年前から何も問題はなかった。2月には長谷部、川島、吉田、長友とも会った。なぜ1か月後に」。W杯へのテストと捉えていた3月のマリ戦、ウクライナ戦は1分け1敗と低調な内容だった。「リザルトでなら分かる」と試合結果での解任なら納得できると語った。

 1―1で引き分けた3月のマリ戦後、当時技術委員長で現代表監督の西野朗氏(63)から「1人が不満を持っている」と指摘を受けた。「後で解決する」と語ったが、協会側はその直後、選手や日本人スタッフに事情聴取し更迭を決断。自身が連れてきた外国人スタッフには説明がなかったと主張した。「話が本当なら、会長も西野さんも事前に言ってくれれば良かった。問題があるぞと一度として言ってくれなかった。(不満を持っている選手は)会長とやり取りをしていたようで、テクニカルスタッフともコンタクトを取っていたようだ」

 その後、独自に調査した結果は「不満を漏らしているのは2人。15人ぐらいから残念だというメッセージはもらった」と、DF槙野智章(浦和)、DF丹羽大輝(広島)から感謝の言葉が届いたことを内容と共に紹介した。

 「オーストラリアに勝ってW杯予選を通過した試合の後ですら2人の選手ががっかりしていた。それまで試合に出ていたわけだから。W杯代表23人を選ぶのは、どこの国でもあつれきが起きる」。それまで主力扱いだったが、オーストラリア戦で出場がなかったのはFW本田圭佑(パチューカ)とMF香川真司(ドルトムント)だった。

 もちろん、どれだけ反論しても解任の事実が覆らないことは理解している。現地紙では「訴訟の準備を進めている」などと報道されたが、その意向は持っていないことも明かした。「解雇権を持っているので解雇するのは問題ない」

 最後には日本への感謝とロシアW杯での躍進を願った。「日本代表は窮地に陥っている。彼らに準備の時間を与えてほしい。私は日本の永遠のサポーター。心からアリガトウ」。15年3月12日の就任から1142日。すっきりした表情で会場を後にした。(斎藤 成俊)

 ◆ハリル監督解任前後の動き

 ▼3月23~27日 ベルギー遠征でマリ、ウクライナに1分け1敗。

 ▼4月7日 パリ市内のホテルで日本サッカー協会の田嶋幸三会長が選手とのコミュニケーション、信頼関係が薄れてきたなどの理由でハリル監督に解任を伝える。

 ▼9日 田嶋会長が帰国し解任発表。

 ▼10日 ハリル氏がフランス・リール市内の自宅で取材に応じ「何が起きたか分からない」「ウソ」「でっち上げだ」と怒りをあらわにする。

 ▼20日 27日に都内で会見を行うことが発表される。

 ▼21日 ベルギー遠征に出発した3月18日以来となる再来日。

 ▼24日 ハリル・ジャパンの3コーチが契約解除を了承。

 ▼27日 都内で会見。

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