西野日本は「ポリバレント」重視…W杯候補27人を発表
日本サッカー協会は18日、親善試合ガーナ戦(30日・日産ス)に臨む日本代表メンバー27人を発表した。ハリルホジッチ前監督の解任を受け初陣に挑む西野朗監督(63)は「ポリバレント(多様性)」重視で選考したと説明。香川、本田、岡崎の“ビッグ3”のほか、ブラジルW杯代表のMF青山敏弘(32)=広島=が約3年2か月ぶりに“サプライズ”招集された。ガーナ戦と31日午前予定の練習試合を経て、同日午後にロシアW杯登録23人を発表する。
W杯初戦まで残された時間は1か月のみ。西野監督は、27人のサムライに「ポリバレント」を求めた。「あらかじめ話しておきたい」とした指揮官は、メンバー表に記載された選手のポジション分けを指しながら、W杯に向けた“哲学”を唐突に語り出した。
「表にGK、DF、MF、FWとあるが、私がリストを作る段階でこのポジションで選手を分けたことはない。GK以外のポジションは外してほしい」
現代サッカーでは、複数の役割をこなせる選手が重宝される傾向で、指揮官は固定観念を取っ払った。中島翔哉(ポルティモネンセ)はポリバレント性を見いだせず選外とし、オシム元監督も使った用語をキーワードに、柔軟性ある采配を目指す考えを明確にした。
「システム、ポジションに固執しない。ポリバレントで複数のポジションをこなせる選手がリストにもたくさんいる。柔軟に対応する力、戦い方、戦術、戦略的な部分も持ってほしい。たくさんオプションを考えて選手に伝える」
2002~11年までACL制覇など黄金時代を築いたG大阪でも3バック、4バックを併用。ハリル前監督は縦一辺倒だったが、西野ジャパンではボランチが定位置の長谷部を、所属のフランクフルトでプレーする3バックの中央「リベロ」での起用も検討している。
当初はこの日、最終登録23人を発表する案もあったが、けが人を考慮して苦渋の決断で27人とした。6月19日の1次リーグ初戦コロンビア戦まで時間はない。
「なかなかコロンビア戦に向けての絵が描けない。ただ、選手の組み合わせでいろいろ描けるものを選びベストな選択をしたい」
海外組17人を含む27人は全員ハリル・ジャパンへの招集歴があり、基本的にこの27人から23人を選ぶ方針。最大限力を発揮する選手を組み合わせ、世界で戦えるチームに変貌させられるかは指揮官の手腕にかかっている。(斎藤 成俊)
◆ポリバレント 本来は、化学において「多価」を意味する英語。サッカーにおいては、試合の流れに応じて複数のポジションをこなす能力を持つ選手を指す。守備の場面でFWがDFの役割を果たすなど。日本ではオシム元代表監督(06~07年)が用いた。