西野ジャパン3つの変化…「指導法」「宿舎での過ごし方」「食事会場」

スポーツ報知
海外組選手の練習を静かにチェックする西野監督(カメラ・竜田 卓)

 日本代表は21日、ロシアW杯最終登録メンバー23人を絞り込む選考試合となる親善試合ガーナ戦(30日、日産ス)に向けた合宿を千葉県内で開始した。ハリルホジッチ前監督の解任を受けて就任した西野朗監督(63)体制での始動日は、右太ももの負傷のため宿舎で調整したMF乾貴士(エイバル)を除く海外組10人が約1時間30分、体を動かした。西野監督は前任者とは違い、練習中はコーチに指導を任せるなど“脱ハリル流”でW杯に向けたチーム作りを進めていく方針だ。

 男は黙して多くを語らない―。指導日初日を迎えた西野監督はダンディーな顔を崩さず、静かに選手たちの動きを見守った。「非常にワクワクしている」。練習後に始動日の感想について聞かれると頬を緩めたが、指示はすべてコーチに任せる“西野流”は、明らかにハリル前監督のチームマネジメントとは違った。

 《1》指導法 ハリル氏は時に声を荒らげながら、身ぶり手ぶりで指導した。西野監督は無言で選手の動きを追った。円陣もハリル氏の指導初日は約15分だったが、この日は約6分。

 《2》宿舎での過ごし方 ハリル氏は昼食後は部屋の行き来を禁止してシエスタ(昼寝)を厳命していたが撤廃。また、宿舎で家族や関係者と会うことを許さなかったが、西野体制はある程度認める見込みだ。

 《3》食事会場 ハリル監督は全員の顔が見えるように長テーブルで一緒に食事をしたが、現体制では丸テーブルでいくつかのグループに分かれて食事する。

 W杯開幕を2か月後に控えた時点での監督交代。選手に動揺を与えない目的もあるが、昔からドンと構えるのが“西野流”。選手たちにも笑みがこぼれた。一方で「今まで積み上げてきた日本代表もある」と前体制を全否定せず、良い部分は継続することを伝えた。

 G大阪時代に指導を受けたMF宇佐美は「オーラと貫禄がある。短い言葉に重みがある」と語る。「いい形で入れた。準備をしっかりして選手たちをトップフォームに近づけたい」と指揮官。心身共に窮屈になる徹底管理ではなく、“自由”を与えながらW杯仕様のチームを作っていく。(斎藤 成俊)

 ◆オシム・ジャパン以降の初合宿の初日メニュー
 ▽イビチャ・オシム監督(2006年8月6日、千葉県内) 平成国際大と練習試合を行い5―0で勝利。フォーメーションや戦術を告げず、選手の自主性や決断力を要求した
 ▽岡田武史監督(08年1月15日、鹿児島・指宿市内) 3チームに分かれ、ハーフコートで10対10を各8分間総当たりで行った。6分ハーフの紅白戦も実施
 ▽アルベルト・ザッケローニ監督(10年10月4日、埼玉県内) 守備陣を集め、約35分間にわたり新戦術を説明するなど約1時間40分の練習
 ▽ハビエル・アギーレ監督(14年9月1日、札幌市内) 戦術練習やクロスの練習など、和やかな雰囲気の中で約2時間の練習
 ▽バヒド・ハリルホジッチ監督(15年3月23日、大分市内) 練習はランニングのみでわずか24分間。指揮官も選手の先頭に立ち約3・5キロを走った

サッカー

×