【二宮寿朗の週刊文蹴】なでしこ入りも期待された高木美帆のスポーツ掛け持ち効果

スポーツ報知
スピードスケート女子1500メートルで銀メダルを獲得した高木美帆

 平昌五輪でスピードスケート女子1500メートルの銀メダルに続き1000メートルでも銅メダルを獲得した高木美帆は、サッカー少女としても知られた存在だった。

 中学までサッカーとスケートを掛け持ち。14日付のスポーツ報知には「男子を押しのけFWとして活躍。『ナショナルトレセンU―15』合宿にも招集され、なでしこジャパン入りも期待されていた」とある。サッカーの道に進んでも成功したに違いないが、キック力や体の使い方はスケートにもいい影響を及ぼしたのではないかと推察できる。

 子供のころはスポーツを掛け持ちさせたほうがいい、という意見をよく聞く。たとえば米国は高校まで複数のスポーツに取り組むのが一般的だ。ゆえにNFLのスーパーボウルとメジャーのワールドシリーズともに出場したディオン・サンダースのようなスターも登場する。サンダースは学生時代、バスケットもかなりの腕前だったらしい。

 日本の場合は野球なら野球、サッカーならサッカーと一つの競技に専念する傾向がまだ強い。高木の“掛け持ち効果”を見るにつけ、その機運を高めていくならいいタイミングだと言える。ラグビーの五郎丸歩も小学4年から6年までサッカーと両立している。あの正確なキックは、サッカーの経験がプラスに働いているはずである。

 サッカーで掛け持ちと言えば、J2熊本のストライカー、巻誠一郎。アイスホッケーを高2まで続けており、高1のときには国体にも出場している。競技の掛け持ちをプラスとした巻はこのように語る。「子供のころは体の線が細かったんですけど、アイスホッケーをやることで当たり負けしない体になりました。小さなパックを点で合わせて流し込むというスポーツなので得点の感覚というのも磨かれたかなとは思います」

 いずれJリーガーが他競技で五輪に出場する時代が来るかもしれない。(スポーツライター)

サッカー

×