【岩政大樹 オン・ザ・ピッチ】どんな“ドラマ”見られるか

スポーツ報知

 Jリーグ開幕を目前に控える中、ACLは一足先に1次リーグの戦いがスタートしました。シーズンが始まると体が疲労していくのはもちろんのこと、それ以上に心が疲弊していきます。シーズンオフにリセットした新鮮な心でまた始まる新しい年。選手たちはワクワクしているのと同じくらい、心をすり減らしていくような日々が始まった覚悟で今を迎えていることでしょう。

 スタートダッシュは重要ですが、実はそれほど重要でなかったりもします。結局シーズンとは良い波と悪い波を行ったり来たりしながら進んでいくので、スタートダッシュはただ単に良い波が最初に来ただけに過ぎないことが多いからです。

 大事なことは自分たちの歩みをできるだけ正確に感じていくことだと思います。シーズンの最初に結果が出たとしても出なかったとしても、“どうせ”シーズンは例外なく良い波と悪い波をいくのです。結果に必要以上に一喜一憂することなく、クラブみんなの歩幅をそろえていけば自然に自分たちに見合った勝ち点に落ち着いていく。それが「ぶれない」ということなのだと思います。

 サッカーとは得点が入りにくいスポーツであることから、1試合で語ると結果と内容が一致しないことが多々出てきてしまいます。するとどうしても「何をもって正しいとするか」がいつも難しい判断になります。とはいえ、結果にこだわらなくては強いチームにはなりませんし、負けを認めていては前に進めません。

 このようなジレンマのような気持ちの中でチームも1選手も揺れ動いて自問自答していくのがサッカーのシーズンです。そこには葛藤があり、苦悩があり、感動があります。

 今年のあのチームはどんなシナリオのドラマを見せてくれるでしょうか。あの選手はどんな物語を歩むのでしょうか。“ドラマは最終回だけ見てもつまらない”。2018年シーズンの筋書きのないドラマを楽しみに見ていきましょう。

(東京ユナイテッド、元日本代表DF)

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