【二宮寿朗の週刊文蹴】新2強時代か戦国逆戻りか

スポーツ報知

 26年目のJリーグは「新2強時代」に入ったといえるだろうか。

 昨季、逆転優勝を飾った川崎と2位・鹿島は勝ち点「72」を獲得した。3位以下を引き離してマッチレースになった。チャンピオンシップ制を採用した一昨年は鹿島が年間王者となり、川崎は勝ち点「70」超えを果たしての年間3位。天皇杯の決勝でも両者はぶつかっている。「2強」の予兆は漂っていた。

 今オフの補強も主役はこの2チーム。鹿島は3連覇時代を知る内田篤人をドイツから呼び戻すことに成功し、川崎は大久保嘉人を復帰させたばかりか、日本屈指のアタッカーである斎藤学まで獲得した。上位に手厚くなる“DAZN(ダ・ゾーン)マネー”によって、クラブ間の「格差」が出てくるのは当然。勝った者がより強くなる可能性が広がっている。

 しかし、Jリーグならではといえる「戦国」のにおいも消えてはいない。勝負強さを発揮しているC大阪や昨季ACLを制覇した浦和も不気味に映る。中でも下平隆宏監督率いる柏は、面白い存在になりそうだ。しっかりと種をまいてきた。中山雄太、中谷進之介、小池龍太ら若手を積極的に起用して、ポテンシャルを伸ばしている。加えてクリスティアーノという絶対的なエースがおり、江坂任、小泉慶ら補強にも積極的に動いた。

 ACLはここまで1分け1敗だが、試合内容は悪くない。20日の天津権健戦でも相手以上にチャンスを多くつくった。先日、下平監督に話を聞いた際「最後の精度のところを口うるさく言いたい」と語っていた。決定力を重要課題にするということは、シュートまでの流れはできつつあると受け取ることもできる。

 「新2強時代」への本格突入か、それとも「戦国時代」に戻るか。今後の趨勢(すうせい)を占う意味でも重要なシーズンとなる。(スポーツライター)

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