【二宮寿朗の週刊文蹴】“10代のJ”トレンド加速

スポーツ報知
F東京・久保建英

 マルチAIスピーカー、宅配ボックス、ミレニアルピンク…。40代半ばのオジサンである筆者も、最近のトレンドは一応チェックしている。

 日本サッカーに目を移してみると、今季のトレンドは「ティーンエージャー」になるだろうか。

 バルセロナの下部組織で育った16歳、FC東京の久保建英に注目が集まる中「いやいや、ウチにもイキのいい選手いますって!」とばかり、10代を積極的に起用するクラブが目立つ。

 ガンバ大阪の中村敬斗(17)、福田湧矢(18)、名古屋グランパスの菅原由勢(17)、清水エスパルスの立田悠悟(19)らが続々とJリーグデビューを果たしている。菅原や立田に至っては、早くも主力に食い込みつつある。

 このトレンドは加速している。7日のルヴァン杯第1戦では浦和レッズの18歳、荻原拓也が2ゴールを奪うと、14日には「ティーンエージャー」の主役といえる久保がトップチームで初ゴールをマークした。ススッと敵陣に進入するドリブルから、ゴール右隅に的確に蹴り込んだ。技術、判断、ゴール前の落ち着きと、どれも申し分なかった。

 これで十分おなかいっぱいなのに、衝撃は続いた。浦和レッズからゴールを奪ったガンバ大阪の中村である。自陣から槙野智章を素早いターンでかわすと、約70メートルをドリブル。強弱をつけたドリブルもそのコース取りもニアを打ち抜くための駆け引きであった。これまた技術、判断、ゴール前の落ち着きは言わずもがな。経験値の高いレッズ守備陣を翻弄したことは大きな自信になったことだろう。

 久保と中村は昨年U―17W杯を戦った仲間であり、ライバル。自己のレベルアップは周りの成長を呼び込む“相乗途上効果”とでもいえようか。「ティーンエージャー」のトレンドはきっと一過性ではないはず。うねりとなってブームの予感すら漂っている。(スポーツライター)

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