【岩政大樹 オン・ザ・ピッチ】広島の「連動した守備」見事

スポーツ報知
6日の神戸戦、パトリックの追加点に喜ぶ広島イレブン

 広島が記録的と言っていいほど勝ち点を伸ばして、首位を独走しています。まだ3分の1を終えたばかりのリーグとはいえ、13試合で34もの勝ち点を稼ぐのは力のあるチームにしかできません。とりわけ、ここまでわずか5失点の守備は堅固で、無失点試合はすでに10を数えています。

 昨年はけがの多かったGKの林選手が円熟味を増したセーブで安定感をもたらせていることに加えて、目を見張るのは全体の連動した守備です。サッカーではよく「連動した守備」という言葉が使われ、どのチームもそれを目指していますが、実際に90分間にわたって実現させるためには、一人ひとりの一糸乱れぬ動きが必要です。一人が動けば、それに合わせて他の選手も動かなければなりません。周辺の選手だけではなく、チーム全員が、です。

 試合を見られるときは、ぜひ少し目線を全体に移し、相手チームがボールを動かしているときの広島の選手全員の動きを見てみて下さい。ボールから一番遠い選手も、全員がこまめにポジション修正を行っていることが分かるはずです。全員が1つの生き物のように一緒に動く様は美しくさえあり、見事というしかありません。

 サッカーボールは丸く、その位置は動き続けます。ボールの位置が動けば、取るべきポジションは変わります。しかし、サッカーではなかなかボールが来ないこともあり、ポジションを取り直すことを怠るのは、プロ選手であっても当然のようにあります。「やるときはやる」というように。しかし、それでは安定した結果は得られません。

 「いずれ落ちて来るだろう」。誰もがそうして見ていながら、むしろ加速していくほどの勢いを見せる広島の強さは、まさにサッカーの本質を示しているようです。(東京ユナイテッド、元日本代表DF)

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