天皇杯誤審でPK戦やり直し…今季から禁止フェイント「失敗」が「蹴り直し」で違う結果に

スポーツ報知
天皇杯での誤審経緯

 日本サッカー協会は11日、6日に行われた天皇杯2回戦の名古屋(J1)―奈良クラブ(JFL)戦(パロ瑞穂)で審判員による明らかな競技規則の適用ミスがあったとして、奈良クラブが勝ったPK戦を取り消して後日にPK戦の1人目からやり直しを行うと発表した。日時、場所は未定で両クラブと協議して決める。

 日本協会によると過去に同等の事例はなく、天皇杯でのPK戦やり直しも初めて。国際的にも珍しく、JFLがJ1を倒した番狂わせは異例の仕切り直しとなった。須原清貴大会委員長は「非は選手には全くなく私どもにある。試合結果を大きく左右するミスで迷惑をかけた」と謝罪した。

 試合は延長戦を終え1―1で、3回戦出場チームを決定するためPK戦を実施。奈良クラブ4人目の金久保がキック前に不正なフェイントを入れたため、競技規則では当該選手を警告としてキックは失敗扱いとなり、PK戦は「名古屋4―2奈良クラブ」で試合終了のはずだった。

 だが主審は蹴り直しを命じ、金久保は成功。副審、第4の審判員も誤りに気がつかなかったため、そのままPK戦が継続した。5人目は奈良クラブが成功して名古屋が失敗しサドンデスの延長戦へ。6人目は名古屋が失敗して奈良クラブが成功したため、試合は「奈良クラブ5―4名古屋」で終了した。昨季に改訂される以前の競技規則では、PK戦で主審がキッカーの反則と判断した場合は〈1〉ゴールに入った場合はやり直し〈2〉ゴールしなかった場合は警告としてキックは失敗―だった。競技規則の改訂を適用しなかったことが混乱を招いた。

 試合翌日の7日午後、3級審判員の資格を持つ一般人から日本協会に問い合わせがあり、疑いが発覚。映像などで確認を行い、競技規則の決定機関である国際サッカー評議会や関係者と協議を重ね、11日の天皇杯臨時実施委員会でPK戦のやり直しが決定した。両クラブは決定を受け入れている。該当審判員の処分などは12日の臨時審判委員会で話し合う予定だ。

 ◆名古屋―奈良クラブ戦 前半ロスタイムに名古屋がFWシャビエルのゴールで先制。後半20分に奈良クラブMF金久保が同点弾を決めた。名古屋は相手の3倍近い19本のシュートを放つも、1―1のまま延長戦でも決着はつかずPK戦に。PK戦で奈良クラブは1、2本目を成功させたが、3人目のDF前田が失敗。名古屋は4人目まで全員が成功していた。

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