【二宮寿朗の週刊文蹴】長友雪辱第一の移籍

スポーツ報知

 長友佑都がイタリアに別れを告げて、トルコの名門、ガラタサライに移籍した。チェゼーナからインテルへ移籍した7年前と同様、冬の移籍市場ラストデーに駆け込みで決まったのも実に彼らしい。

 リーグ戦ここ10試合で出場は1試合のみ。出番に恵まれない状態が続いていた。4か月後に迫るロシアW杯を考えれば、「このままじゃいけない」と、愛着あるクラブを去る決断を下したのだろう。それほど彼にとって3度目となるW杯は、大きな意味を持つということになる。

 惨敗に終わった2014年のブラジルW杯。チーム解散の日、目を腫らしたまま取材エリアに現れた長友の姿を思い出す。「最高の監督、スタッフ、チームメートがいるのに、これで終わってしまう寂しさがあって…。それに『もう1回、ワールドカップを戦えるとしても私はここにいるメンバーを選ぶ』と言ってくれたザッケローニ監督の最後の言葉がね。そこがもう悔しくて」。そう言ってまた唇をかんでいた。

 大会前、「W杯を機に、人々の記憶に残るような語り継がれる選手になっていきたい」と意気揚々とブラジルに乗り込みながらも、世界の壁にはね返された。一度は代表引退を考えたほどの大きなショックだった。

 W杯で受けた借りをW杯で返す。リベンジを第一義とした移籍だと捉えたい。不慣れな環境に飛び込むことで新しい刺激を入れ、競争に勝って代表につなげていく。その決意が見えてくる。

 トルコでプレーした日本人選手と言えば、直近では細貝萌(柏レイソル)がいる。15~16年シーズンにブルサスポルに在籍し、主力として活躍した。「トルコはサポーターが熱く、リーグ全体としても熱い。当然ながらプレーも熱くなってくる」と、細貝が語ってくれたことがある。魂と肉体をぶつける熱いトルコリーグは、熱血漢のサイドバックにマッチすると考える。(スポーツライター)

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