マインツ武藤、2トップが「ベスト」ハリル政権で“冷遇”、西野流でW杯へ

スポーツ報知
日本代表入りへの熱い思いを語ったマインツ・武藤

 【マインツ(ドイツ)3日=金川誉】ドイツ1部マインツのFW武藤嘉紀(25)がスポーツ報知の単独取材に応じ、ロシアW杯の日本代表メンバー入りへ熱い思いを明かした。ドイツ1部では3年間で計19ゴールを挙げながら、バヒド・ハリルホジッチ前監督(65)の下では招集されるチャンスが少なかった。自身が得意とする2トップの採用も予想される西野朗新監督(63)の下で活躍を誓った。

 次節5日のドルトムント戦に向け、練習場で調整する武藤の表情は底抜けに明るかった。欧州視察中の西野監督が視察する可能性もある一戦に向け、集中力を高める中でもリラックスした雰囲気で、好調さをうかがわせた。

 「いい状態ですし、ドルトムント戦は大事かなと思います。(最終節の)ブレーメン戦も大事だけど、アウェーでの難しい試合でゴールを狙いたい」

 今季はドイツ1部で日本人最多の7ゴール。だが日本代表には昨年10月10日のハイチ戦以来出場がない。そんな中で起こったハリルホジッチ監督の解任。選手選考がフラットになることでチャンスが出てきた。

 「ハリルさんの時にも悪いプレーをしたつもりはないけど、選ばれなかったのは自分に足りないところがあったと思う。クラブで結果を出しているつもりでも呼ばれない時は、さらに何をすればいいのか分からなかった。僕はクラブも大事だけどW杯も大事。だからこそ、選ばれない時は本当にイライラした。結果を出しても選ばれないのは一番キツい。どうしたらいいか分からなかったんです」

 結果を出しても代表に呼ばれない苦悩。それは日の丸を背負うことへの、人一倍の思い入れがあるからだ。

 「日本代表から気持ちが離れたことはない。幼い時からの夢だし、日の丸を背負える誇りは感じます。だからこそ、大舞台のメンバーにも入りたい。西野監督に代わって自分にとってはチャンスだと思うし、大舞台で力を発揮できる自信もある。これまで全部のW杯をテレビで見てますし、あの祭典に出たいという気持ちが強い。最初は、たぶん家族で(98年フランスW杯の)アルゼンチン戦を見た記憶がある。印象的なのは、やっぱり(10年南アフリカW杯での)本田圭佑君のゴール。あの時が一番衝撃でした」

 西野新監督は3―5―2の新システムを取り入れるプランもあるなど、大きくメンバー選考に変化がある可能性はある。その中で、武藤が強調したのは2トップにも適応できる能力だ。ハリル体制では主に3トップが採用され、居場所を見つけられなかった感もあった。3トップと2トップ、どちらが得意かと質問すると「もちろん2トップですよ」と即答した。

 「一度(代表で)大迫君が真ん中、僕が左で一緒にやったんですけど、お互いに分かり合ったプレーができた。彼も(ボールを)収められるし、自分も裏に行けるし、すごいやりやすい。同じドイツでやっていて、彼のプレーも分かっている。強いチームとやると、黒人選手やトップレベルの選手には個の力、フィジカルで勝てない。2人でサポートし合う形はベストかなと思います」

 日本では4年前のブラジル大会と比べて代表への期待が下がっているが、そんな前評判を覆してやるという思いも胸に秘めている。

 「期待されないところから逆転する喜びはある。この世界は結果論。コロンビアは自分たちより強いけど、勝てるように準備していきたい。だれか1人でも疑問を持っちゃうと、そういう結果は生まれないと思う。W杯は特別。日本代表のユニホームを着て、日の丸を背負える重みは自分にとって価値が高い。それだけは譲りたくない。選ばれれば全てを出し切ってプレーしたい。今、一番メラメラしてますよ」

 ◆武藤と2トップ F東京でプロ入りした14年(13年は特別指定選手)は、序盤は3トップの左FWとして出場。中盤以降はブラジル人FWエドゥーと2トップを形成し、最終的に33試合13得点をマーク。J1の新人年間最多得点に並び、ベストイレブンに選出された。15年はFW前田遼一と2トップを組み、第1ステージで17試合10得点。同年夏にマインツへ移籍した。

 ◆西野監督の3―5―2構想 システムは3―5―2がベース。ハリルホジッチ体制では一度も試されなかった3バックがカギになる。DF3人の中央にはボランチの長谷部をコンバート。的確な指示、カバーリングで試合を安定させるのが狙い。中盤はトップ下を置き本田、香川を生かしやすくする。守備時には両ウィングバックを下げて最終ラインを5人にして猛攻をしのぐプランも。FWは2トップで欧州で活躍している大迫、武藤らと経験のある岡崎のコンビでチャンスを演出できる。

サッカー

×