ダニエル太郎、ジョコビッチ撃破 日本人2人目

スポーツ報知

◆プロテニス・BNPパリバ・オープン ▽男子シングルス2回戦 ダニエル2―1ジョコビッチ(12日、米カリフォルニア州インディアンウェルズ)

 男子シングルス2回戦で世界ランク109位のダニエル太郎(25)=エイブル=が、元世界1位のノバク・ジョコビッチ(30)=セルビア=を破った。2時間半の激戦をフルセットで制し、日本人では錦織圭(28)=日清食品=以来2人目の金星。錦織は体調不良で初戦の2回戦を欠場した。女子シングルス3回戦では同44位の大坂なおみ(20)=日清食品=が同100位のサーシャ・ビッカリー(22)=米国=を下した。

 ダニエルが大金星を挙げた。最終セット1―1から4ゲーム連取で迎えたマッチポイント。ジョコビッチがフォアをミスすると、右手を突き上げて喜びを爆発させた。「自分のキャリアで最高の勝利」。4大大会に次ぐ格のマスターズ大会で予選を突破し、初めての挑戦で元王者を倒した。

 ジョコビッチは長い手足を生かした守備力と高い精度のショットを誇り、14年7月から世界ランク1位に122週連続で君臨した。4大大会は12回優勝、日本のエース錦織も過去2勝11敗の難敵だ。しかし2月上旬に右肘手術を受け、今大会が復帰戦だった不安をダニエルは逃さなかった。

 第1セット3―5の第9ゲームで、長いラリーから浅い返球を逃さずブレイク。「相手の調子はよくない。ここで踏ん張ればやれる」と奮起し、タイブレイクを制した。その後は何度も敗戦が頭をよぎったが「できると信じる考えの方が強かった」と粘り強く、深く、しつこく返球し続けた。

 昨年10月に10年間過ごしたスペイン・バレンシアを引き払って、日本に拠点を移した。ジュニア時代から同じスペイン人コーチと親子のような上下のある関係に嫌気がさし、昨年はツアー6大会でわずか2勝にとどまり下部大会でも勝てなかった。父親らの助言で前向きさを取り戻し「毎日のことを楽しんでやれているのが大きい」と感じている。

 持ち味の粘る守備に加え、攻撃的なプレーを取り入れた。2月のデビス杯ワールドグループ1回戦イタリア戦では、相手エースのフォニーニにフルセットで惜敗と手応えを得ていた。モデルチェンジの途中でつかんだ大きな1勝が、今後の飛躍につながることは間違いない。

 ◆ダニエル 太郎(だにえる・たろう)1993年1月27日、米ニューヨーク生まれ。25歳。父は米国人、母は日本人で14歳からスペインに住む。2010年にプロ転向し、ツアーは未勝利で世界ランクの自己最高は85位(16年4月)。14年からデビス杯代表で、16年リオ五輪は3回戦敗退。190センチ、76キロ。右利き。両手バックハンド。

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